第2章 戦隊ヒロイン
前の職場仲間との、送別会ともただの飲み会とも分からない宴会も終了し、留美が少し仕事にもなれてきた数週間後、新たな展開が始まった。
「留美さん、ちょっとよろしいですか。」
珍しく事務所にいた豊田課長は留美に声をかけた。相変わらずきちんとした身なりで言葉も丁寧だ。ただ、手はすごい勢いでキーボードをたたいている。顔はこちらに向いているのに、ちゃんと文章が打てているのだろうか。もしかすると豊田課長はただものではないかもしれない。初見は、若干セクハラ親父が入っているかと疑ったが、実際にはそのようなことはなく、通常は極めて普通の言動で、むしろかなり優秀な奴なのではないかと留美には思えた。そうはいうものの、いつからか、名前で呼ばれるようになっており、慣れてきたらいずれ「ちゃん」付けになるのだろうか。
「はい、なんでしょうか。」
留美も、神妙に答える。小さな職場なのでもう少しくだけた口調でもいいのではないかと思うが、メンバーも誰もが丁寧で、自分だけくだけるのも気が引ける。
「留美さん、来週から3週間、スプリングエージェンシーという会社に派遣で行ってもらいます。ここは、いわゆるイベント会社で、着ぐるみショーとか、映画の撮影の補助とかやっている会社です。毎年、今の時期になると派遣の依頼が来るので、うちから出しています。少し肉体仕事になりますが、留美さんなら大丈夫でしょう。最初はすこしきついと思いますけど、楽しんできてください。」
来た、とうとう来た。前に豊田課長から聞いてはいたが、自分が別の会社に派遣されるとは。しかも着ぐるみショーの会社。今まで、きれいなオフィスでのデスクワークが楽すぎたつけがまわったきたということか。しかし、自腹で空手エクササイズに通っていたことを考えれば、いいトレーニングになって逆に一石二鳥かもしれない。
「留美さん、最初は大変だと思うけど頑張ってね。」
と、川島がフォローしてくれる。
「かしこまりました。」
このGBプランニングに移ってからというもの、前の職場のようなもやもや感もなくなり、空手エクササイズに通うこともなくなっていた。少し体を鍛えるつもりで行けばいいか、留美は覚悟を決めていた。
「留美さん、ちょっとよろしいですか。」
珍しく事務所にいた豊田課長は留美に声をかけた。相変わらずきちんとした身なりで言葉も丁寧だ。ただ、手はすごい勢いでキーボードをたたいている。顔はこちらに向いているのに、ちゃんと文章が打てているのだろうか。もしかすると豊田課長はただものではないかもしれない。初見は、若干セクハラ親父が入っているかと疑ったが、実際にはそのようなことはなく、通常は極めて普通の言動で、むしろかなり優秀な奴なのではないかと留美には思えた。そうはいうものの、いつからか、名前で呼ばれるようになっており、慣れてきたらいずれ「ちゃん」付けになるのだろうか。
「はい、なんでしょうか。」
留美も、神妙に答える。小さな職場なのでもう少しくだけた口調でもいいのではないかと思うが、メンバーも誰もが丁寧で、自分だけくだけるのも気が引ける。
「留美さん、来週から3週間、スプリングエージェンシーという会社に派遣で行ってもらいます。ここは、いわゆるイベント会社で、着ぐるみショーとか、映画の撮影の補助とかやっている会社です。毎年、今の時期になると派遣の依頼が来るので、うちから出しています。少し肉体仕事になりますが、留美さんなら大丈夫でしょう。最初はすこしきついと思いますけど、楽しんできてください。」
来た、とうとう来た。前に豊田課長から聞いてはいたが、自分が別の会社に派遣されるとは。しかも着ぐるみショーの会社。今まで、きれいなオフィスでのデスクワークが楽すぎたつけがまわったきたということか。しかし、自腹で空手エクササイズに通っていたことを考えれば、いいトレーニングになって逆に一石二鳥かもしれない。
「留美さん、最初は大変だと思うけど頑張ってね。」
と、川島がフォローしてくれる。
「かしこまりました。」
このGBプランニングに移ってからというもの、前の職場のようなもやもや感もなくなり、空手エクササイズに通うこともなくなっていた。少し体を鍛えるつもりで行けばいいか、留美は覚悟を決めていた。