ビクトリーラーメンマンシリーズ第6弾 出世茸

 キノコのうまさもあり、おれはだんだん陽気になってきた。
 「ははは、博士確かにすごいですね。これは最高です。大ヒット間違いなしです。ははは・・。」
 「甲斐君、そうだろう。わしの舌で感じたとおりだ。ははははは・・・。」
 「いや、すごい、すごい、はははははは・・。」
 「わしの研究成果も学会で認知されることだろう、ははははははは・・・。」
 「いや、おいしい、はははは・・。そういえば、出世茸って言われてましたけど、どんな名前がついているんですか。ははは・・・。」
 「あー、教えていなかったな。ははは、愉快、愉快。最初の苦いときは『苦笑茸』で、無味無臭のときは『微笑茸』、で、一番おいしい時が『大笑茸』、最後が『笑い死に茸』じゃ。ははは・・。」
 「そうなんですね。ははは、ちょっと僕たち笑いすぎじゃないですか。ははは・・。」
 「そう言えばその通りじゃな、ははは。少し、中枢神経に来たようじゃの・・・。若干、旬を過ぎていたかな。まあ、おいしかったから良かろう、ははは・・・。」
 俺と博士は夜まで笑い通し、そして疲れ果てた。

 翌日、俺はドック内の調査船から、課長にキノコが最高においしかったことと、博士と半日近く笑っていたことを報告した。課長はキノコがおいしかったという報告に満足がいったようだった。
 「リスクを冒してでも食べたくなるもののようですね。フグと一緒ですね。研究班の派遣を要請しておきます。甲斐さん、ご苦労様でした。」

 早朝に戻った助手たちがキノコを採りに行ってくれたようで、俺はおみやげにもらった『大笑茸』を食べるべきかどうか悩みながらキノコ星を後にした。

おわり
7/7ページ
スキ