ビクトリーラーメンマンシリーズ第6弾 出世茸

 翌日、博士と俺はまるで装甲宇宙服のような防護服に着替え、エアロックから出てキノコの自生地へと向かった。自生地へは徒歩で30分ほどの距離であり、周りにはおびただしい数のキノコが生えていた。よく見ると、白っぽい茶色のものから、濃い茶褐色のものまで、色々な段階があるようだ。
 「甲斐君、ここが自生地じゃ。1本1本、微妙に色が違うだろ。この中から、最高においしいものを選定しなければならん。」
 博士は1本1本慎重に色を確かめては数本を採集していった。俺は博士から離れた場所で、茹でる準備をした。そして、博士が戻ってくるとキノコを一気に茹でた。
 「もうよかろう。宇宙船に戻って食べるとしよう。」
 博士と俺は来た道を戻り、エアロックで1時間近く消毒、洗浄、乾燥され、ようやく船内に戻ってきた。

 「では早速食べるとしよう。一旦茹でているから、そのままでも食べられる。少し醤油を垂らして食べるのが一番うまいと思うぞ。」
 俺は言われるまま醤油を垂らし、キノコを口に運んだ。
 「うまい・・・。うますぎる・・・。」
 あまりにもうまいと、人間うまいとしか言えなくなる。博士の言う通り、確かにこれはうまい。最高だ。単純にキノコなのに、うまみ成分がこれでもかと襲ってくる。これがわが社で商品化できれば、きっと大ヒットになるだろう。課長は数年後には会社幹部になり、俺もそれに引っ張られて昇進することになるのではないだろうか。給料も爆上がりだ。
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