ビクトリーラーメンマンシリーズ第6弾 出世茸
「これは聞いていると思うが、わしは長年キノコの研究をしているが、わしの人生で最高においしいと思うキノコを発見したのだ。しかし、年を取ってくると味覚もおぼつかなくなってくるので、是非誰かに味見をしてもらいたいと思っていたのだ。まあ、助手連中はうまいと言ってくれているが、やはり確証が欲しくて第三者に味見のお願いをすることにしたという次第だ。」
「はい、そのことは課長から聞いていますので、今からでも味見させていただきますよ。」
「ありがとう。しかし、今は手元にキノコがないのだ。このキノコは鮮度の維持が大変難しいもので、生だと収穫して1時間ほどで変性して食べられなくなる。収穫直後にしっかり茹でることで変性は止まるが、1日もすると石化してしまい食べられなくなる。」
「石化って、カルシウムが凝固するみたいな・・・。」
「そうだ、カチカチに固まる。もう一つ、収穫前にも大きな課題がある。このキノコは先住民族は食べているようで『出世茸』と呼ばれている。」
「『出世茸』ですか。何かいいことがありそうな名前ですね。」
俺は出世確定の若い課長の顔が頭をよぎった。
「何かいいことではなく、成長に応じて呼び名が変わっていくキノコなのだ。食べ頃も難しく、最初は少し苦いが、徐々に苦みは取れて無味無臭となり、その後一瞬でうまみが最高に達する。その時食べると最高においしい。おそろしくうまい。しかし、その最高点は一瞬で、そのうまみはどんどん落ちていき、有害成分が増えていき、最後には致命的な毒キノコになる。それぞれのステージで違う名前がついている。」
「それはちょっと怖いですね。」
「まあな。ステージに応じて色が変わっていくので、それを見極めれば恐れるに足らん。今日は助手がおらんので明日一緒に採りに行こう。」
「はぁ、判りました。」
俺は少し嫌な予感がしたものの、調査任務のためには仕方ないと思い、気の乗らない返事をした。
「はい、そのことは課長から聞いていますので、今からでも味見させていただきますよ。」
「ありがとう。しかし、今は手元にキノコがないのだ。このキノコは鮮度の維持が大変難しいもので、生だと収穫して1時間ほどで変性して食べられなくなる。収穫直後にしっかり茹でることで変性は止まるが、1日もすると石化してしまい食べられなくなる。」
「石化って、カルシウムが凝固するみたいな・・・。」
「そうだ、カチカチに固まる。もう一つ、収穫前にも大きな課題がある。このキノコは先住民族は食べているようで『出世茸』と呼ばれている。」
「『出世茸』ですか。何かいいことがありそうな名前ですね。」
俺は出世確定の若い課長の顔が頭をよぎった。
「何かいいことではなく、成長に応じて呼び名が変わっていくキノコなのだ。食べ頃も難しく、最初は少し苦いが、徐々に苦みは取れて無味無臭となり、その後一瞬でうまみが最高に達する。その時食べると最高においしい。おそろしくうまい。しかし、その最高点は一瞬で、そのうまみはどんどん落ちていき、有害成分が増えていき、最後には致命的な毒キノコになる。それぞれのステージで違う名前がついている。」
「それはちょっと怖いですね。」
「まあな。ステージに応じて色が変わっていくので、それを見極めれば恐れるに足らん。今日は助手がおらんので明日一緒に採りに行こう。」
「はぁ、判りました。」
俺は少し嫌な予感がしたものの、調査任務のためには仕方ないと思い、気の乗らない返事をした。