ショートタイムリーパー

 翔が時間を戻す少し前、地球から数百万光年離れた星系の惑星アルファと惑星ベータとの間の戦争が最後の局面を迎えようとしていた。惑星アルファの総裁は首都の地下に秘密裏に完成させた究極兵器の制御パネルの前で準備をしていた。

 「この究極兵器で惑星ベータの首都を直接攻撃することで、長かった戦争もようやく我々が勝利を収めることができる。」
 「総裁、惑星ベータの首都が射程に入りました。いつでも発射可能です。」
 「分かった。これが最後だ。」
 総裁は発射ボタンの安全カバーを開き、半ば叩きつけるように発射ボタンを押した。その瞬間、首都の地面はわずかに振動し、惑星ベータの首都に向けて究極兵器から光の柱が立った。
 「総裁、惑星ベータの首都に命中。大爆発を確認しました。」
 「よし、我々の勝利・・・。」
 その時時間が戻った。翔の時間を戻す能力は、全宇宙に及んでおり、この惑星の因果律にも影響を与えていたのだ。そして・・・。

 「総裁、惑星ベータの首都が射程に入りました。いつでも発射可能です。」
 「分かった。これが最後だ。」
 総裁は発射ボタンの安全カバーを開き、半ば叩きつけるように発射ボタンを押した。その瞬間、究極兵器は光の柱を発することなく、大爆発を起こした。この爆発により惑星アルファの首都は壊滅した。
 爆発の瞬間、惑星ベータの作戦司令官は惑星アルファの首都の映像を見ながらつぶやいた。
 「どうやら我々の破壊工作がぎりぎりで間に合ったようだな。かなり危ないところだった。これでようやく長かった戦争に勝利することができた。」

 そのころ、翔は芽衣の笑顔を見ないようにして慎重に歩き、無事にソフトクリームを渡すことができていた。

おしまい
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