ショートタイムリーパー

ショートタイムリーパー
                       ー修.

 大学生の山本翔は、どうやら自分にタイムリープの能力があることに気付いた。心の中で「戻れ!」と念じるとタイムリープすることができた。しかし、それは現在の記憶を持ったまま、5分前の自分に戻れるというものであり、しかも1日に1回しか発動しないものだった。

 翔はこの能力で一儲けできないかと考え、競馬に挑戦した。しかし、レースの結果を見届けた後、5分前の過去に戻って万馬券を買ってみてもレースの結果は違うものとなっていた。他の掛け事でも株の取引きでも同じように5分前とは違う結果となってしまい、思ったように儲けることはできなかった。これらのことから、翔がタイムリープをすることで因果律が影響を受け、未来が変わると考える必要があるようだった。

 翔はこの能力は使い道について考えてみた。未来が変わるとは言え、例えば自動車事故に遭った際、5分前に戻れば事故を回避することはできる。もちろん、即死や気絶してしまうと過去には戻れないが・・・。しかし、もしその事故は回避できたとしても、その後一日は能力が使えないため未来が変わって別の事故が発生して死んでしまうかもしれない。そう考えると、この能力はできるだけ温存しておき、万一のリスクに備えるということがその使い道だと考えざるを得なかった。
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