N博士の目覚まし時計

 「それでだ、なかなか起きてくれない妻を起こすための目覚まし時計を作ってみたのだ。」
 N博士は研究室の隅に置いてあった冷蔵庫ほどの大きさの装置を指さした。装置の中央には操作パネルやスピーカーが付いており、側面には使い道が判らないアームも付いている。また下部には車輪が付いており、自走することもできそうだ。

 「これが目覚まし時計ですか。かなり大きいものですね。なんでこんなに大きいんですか。何か複雑そうですけど・・・。」
 「そうだな。最も力を入れたところは、重力制御でベッドに寝た人の周囲の重力を一瞬遮断し、2mくらい落下したように感じさせて目を覚まさせる機能だ。」
 「えっ、そんなことができるんですか。」
 「失敬な。君は私を誰だと思っているんだ。他にも、ジェットエンジンのすぐ後ろにいるくらいの爆音でベル音を鳴らしたり、消防車のようにアームから放水したり、スタンガンほどの電気ショックを与えたりできるぞ。まあ、一例にすぎんが・・・。」

 エージェントは、目覚まし時計なんかに重力制御を組み込むより、重力制御で空が飛べる装置を作ってくれ、と言いたかったがなんとか言葉を飲み込んだ。
 「君、一度体験してみるかね。」
 「私でよければ一度体験させてください。」
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