N博士の目覚まし時計

N博士の目覚まし時計
                       ー修.

 「博士、重力制御装置はどうなっているんですか。」
 投資家のエージェントは、いつまで経っても完成しないN博士の研究にいらだっていた。博士は重力制御の権威であり、そして千年に一度の天才と言われているが、残念ながら投資に見合う成果が出せていない。

 「投資家の皆さんもそうとうな額を博士に投資しているんです。そろそろ、成果を出してもらわないと投資家の皆さんに説明がつかないのですが・・・。」
 白衣を着た初老のN博士は自信を持って答えた。
 「君が言う通りだ。だから、私も、私なりに成果が出ていない原因を検討してみたのだ。その結果、私が規則正しい生活ができていないことが原因ではないかと思い始めた。そのためには、いつも朝寝坊する妻に協力してもらい、ちゃんと朝食を取ることから始めたらいいのではないかと思っている。」
 「えっ、博士には奥さんがいらっしゃったんですか。」
 「失礼な。私が結婚しているなんて信じられないような顔をしているじゃないか。まあそれはいいとして、妻がなかなかのつわもので少々のことではベッドから出てこようとしない。以前は妻を早く起こそうとしていたが、最近は無駄な努力を止めて、朝食を取ることなく研究を始めていたのだ。しかし、考えてみると朝食抜きでは頭が働くわけがない。」
 「なるほど。脳に栄養を補給することも重要かもしれませんね。」
 エージェントは、N博士の考えに疑問を抱きながらも適当に話を合わせた。
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