変身
この手のドラマは子供に受けて、関連するおもちゃが売れれば成功なので、ストーリーは平凡でヒーローのデザインもどこかで見たことがあるようなものであった。ただ、足を前後に開いて腰を落とし、両腕を交差させながら前後逆方向に回す変身シーンは何か新鮮に感じた。俺は、ドラマを中断して、変身ポーズを真似てみることにした。
「へんしーん!!!」
周囲が明るく光った。
「ん!」
今の光はなんだろうか、車のガラスに太陽が反射して部屋に差し込んだのか・・・。俺が窓の方を振り向くと、髪が目にかかってきた。
「ん、ん、ん?」
髪が肩まで伸びていることに俺は気づいた。
「え、どういうこと?」
俺は急いでユニットバスに行き、鏡をのぞき込んだ。そこには見慣れない、眼鏡を掛けた女性の姿が映っていた。
「俺、女になってる?」
自分の胸を触ると膨らみが感じられ、下の方も確かめると、あるべきものがなくなっていた。俺は女性に変身してしまったことに驚いた。しかし、その驚きも永遠に続くわけではなく、少し冷静にものが見られるようになってきた。
俺はしげしげと鏡をのぞき込んだ。女に変身したといっても、美人になったわけでも、かわいくなったわけでもないようだ。もし美人にでも変身できていれば、お金持ちの素敵な男性にちやほやされ、今とは全く違う人生が送られたかもしれなかったのに・・・。俺は、ムキムキの男性の腕にしだれかかり、砂浜を歩くビキニ姿のモデルのような自分を想像していた。
「あれ?」
見た目だけでなく、考え方まで女性化しているようだ。変身前は女性の着替えでも見られればと想像していたが、今やマッチョの男の方に興味が移っている。
「いやいや、現実を見ないと・・」
このまま女性として人生を過ごすことになると、学校もバイトも辞めざるを得ないだろう。そもそも戸籍の性別が変わってしまうと、戸籍なしの人生を送らざるを得ない。いいとこ水商売とか、出身を問われないところで働ければ御の字だろう。どう考えても最悪の人生しか想像できなかった。家から一歩出るにも、化粧品は持たないし、そもそも化粧なんてやったこともない。もちろん女物の服も持っていないし・・・。
「へんしーん!!!」
周囲が明るく光った。
「ん!」
今の光はなんだろうか、車のガラスに太陽が反射して部屋に差し込んだのか・・・。俺が窓の方を振り向くと、髪が目にかかってきた。
「ん、ん、ん?」
髪が肩まで伸びていることに俺は気づいた。
「え、どういうこと?」
俺は急いでユニットバスに行き、鏡をのぞき込んだ。そこには見慣れない、眼鏡を掛けた女性の姿が映っていた。
「俺、女になってる?」
自分の胸を触ると膨らみが感じられ、下の方も確かめると、あるべきものがなくなっていた。俺は女性に変身してしまったことに驚いた。しかし、その驚きも永遠に続くわけではなく、少し冷静にものが見られるようになってきた。
俺はしげしげと鏡をのぞき込んだ。女に変身したといっても、美人になったわけでも、かわいくなったわけでもないようだ。もし美人にでも変身できていれば、お金持ちの素敵な男性にちやほやされ、今とは全く違う人生が送られたかもしれなかったのに・・・。俺は、ムキムキの男性の腕にしだれかかり、砂浜を歩くビキニ姿のモデルのような自分を想像していた。
「あれ?」
見た目だけでなく、考え方まで女性化しているようだ。変身前は女性の着替えでも見られればと想像していたが、今やマッチョの男の方に興味が移っている。
「いやいや、現実を見ないと・・」
このまま女性として人生を過ごすことになると、学校もバイトも辞めざるを得ないだろう。そもそも戸籍の性別が変わってしまうと、戸籍なしの人生を送らざるを得ない。いいとこ水商売とか、出身を問われないところで働ければ御の字だろう。どう考えても最悪の人生しか想像できなかった。家から一歩出るにも、化粧品は持たないし、そもそも化粧なんてやったこともない。もちろん女物の服も持っていないし・・・。