コンビニ

   コンビニ
                           一修.

 ホテルの最寄り駅に着いたのは、日も落ちかかり、そろそろ5時になるころだった。俺は明日の会議に出席すべく、日曜の午後を使って本社のある町へ出張してきていた。日曜は休みだが、独身の俺は特に予定もないので明るいうちに移動するようにしている。今日はホテルでゆっくりくつろいで明日の会議に臨むつもりだ。

 毎月第1月曜日には各地区の営業担当者を集めて営業会議が開催される。しかも、通常営業に支障を来さないようにと朝7時から開始される。近郊の者は良いが、俺のような地方を担当する者は前泊せざるを得ない。会議の前半は営業統括部長の訓示で、後半にたった数分だけ営業実績を口頭で報告する順番が回ってくる。出席者はそれを一所懸命書き写している。このリモートの時代にそもそも出張する必要があるのか、また他人の営業成績を書き写して何になるのか、必要な情報はネットで共有すればいいのではないか。どう考えても、この会議は無駄に思えて仕方ない。きっと他の参加者もそう思っていることだろう。しかし営業統括部長の方針に逆らうこともできず、俺はこの会社に長く留まる必要はないかな、と思い始めていた。

 俺は毎回、駅とホテルの途中にあるコンビニに立ち寄り、晩飯と酒を仕入れるようにしていた。外で食事をしてもいいが、毎月のことで高くつくし、一人で食べるならホテルの部屋でネットサーフィンでもしながら食べたほうが落ち着く。コンビニからホテルまで5分と掛からないため、チェックインをしても部屋まで10分でたどり着ける。やはり都会は便利だ。
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