ふわっと
ふわっと
一修.
それは15年前に始まった。海王星軌道付近に現れたシミ。最初は天体観測機器のノイズか、観測者の目の錯覚ではないかと思われた。しかし、そのシミは消えることはなく、日を追うごとに徐々に地球へ近づいているらしいことが分かった。また近づくにつれ、それは雲のようなとらえどころのないものであることが分かってきた。
宇宙技術はかなり発達し、地球近くでは多くの民間宇宙船や軍事宇宙船が飛び交い、随所に宇宙ステーションができてはいたものの、惑星間の移動は未だ時間と費用を要するため、安易に観測船を出すことははばかられた。
1年後、その雲が土星近くに到達し、土星の衛星軌道上に配置された観測衛星に近づくと、突然雲が晴れ、長さ10kmにも及ぶ紡錘型の人工物が現れた。また、そのルートは彗星が描く放物線ではなく、減速しつつ、ゆっくりと着実に地球に接近するものであった。このまま減速を続ければ、14年後に地球に接近、いや相対速度0で到達することが分かった。人々はこの日を「0デイ」と呼んだ。
一修.
それは15年前に始まった。海王星軌道付近に現れたシミ。最初は天体観測機器のノイズか、観測者の目の錯覚ではないかと思われた。しかし、そのシミは消えることはなく、日を追うごとに徐々に地球へ近づいているらしいことが分かった。また近づくにつれ、それは雲のようなとらえどころのないものであることが分かってきた。
宇宙技術はかなり発達し、地球近くでは多くの民間宇宙船や軍事宇宙船が飛び交い、随所に宇宙ステーションができてはいたものの、惑星間の移動は未だ時間と費用を要するため、安易に観測船を出すことははばかられた。
1年後、その雲が土星近くに到達し、土星の衛星軌道上に配置された観測衛星に近づくと、突然雲が晴れ、長さ10kmにも及ぶ紡錘型の人工物が現れた。また、そのルートは彗星が描く放物線ではなく、減速しつつ、ゆっくりと着実に地球に接近するものであった。このまま減速を続ければ、14年後に地球に接近、いや相対速度0で到達することが分かった。人々はこの日を「0デイ」と呼んだ。
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