ビクトリーラーメンマンシリーズ第3弾 砂の惑星

 「さて・・・。」
 俺がどうすべきか悩んでいると、黄土色のフードのついたローブを着た、浅黒い顔の男が話しかけてきた。いかにも砂漠を旅する隊商のようないでたちだ。

 「失礼ですが、旅行者の方でしょうか。プライベート宇宙船でいらっしゃったところを見ると、かなりセレブな方ではないかとお見受けします。もし、お食事をお探しでしたら、当店をご利用されませんか。1時間ほど走った北のほうの岩場に私共のレストランがあり、お客様のようなセレブの方にもご満足いただけるようなお食事を用意しておりますので。是非。」

 普通の旅行者やビジネス関係の人は連絡宇宙船でやってくる。会社支給の宇宙船とはいえ、プライベート宇宙船には違いない。クルーザーというにはかなり小さめだが、このようなクルーザーで宇宙を旅する金持ちも結構居るらしい。どこに行くべきか途方に暮れていた俺にとっては願ってもない提案だった。きっと何かヒントになる食材が出てくるに違いない。このような辺境であることを考えると、おそらくかなりの高額には違いないが、調査費で落とせるだろう。
 「ちょうど何かおいしいものがないか探していたんですよ。是非、お願いします。」

 俺は男に案内されて、8個の巨大なタイヤが付いた装甲車のような車に乗り込んだ。ただ、装甲車とは違い、客席には大きな窓が付けられており、景色が見渡せるようになっている。観光用も兼ねているのだろうか。
 「それじゃ参りますよ。舌を噛むんでしゃべらないでくださいね。」
 先ほどの男が運転席から話しかける。確かに座席は4点固定式のシートベルトでがっちり体が固定されており物々しい。

 車は、砂漠やら岩場やらを結構な速度で走り始めた。どんな景色が見られるかと期待したが、宙港から出ると、その後はずーっと砂漠と岩場だけで景色の変化はなく、車が上下左右に揺れるのをじっと耐えるだけドライブだった。
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