調査宇宙船は何事もなくドゥーンに到着し、俺は宙港に降り立った。宙港とは言え、だだっ広い離着陸場の端に平屋の管制塔らしき建物があり、その前に無骨な４ＷＤのタクシーらしき車が何台か止まっているのみである。宇宙船まで迎えの車が来るわけでも、地下に移動通路があるわけでもなく、俺は砂に覆われた駐機場をとぼとぼ歩いてその建物へ行き、入国手続きを済ませた。

　都市の宙港であれば、このような施設にはお土産物屋や飲食店があり、そこを覗けばその土地の特産物なり、推しのお土産なり確認できるところだが、施設の待合室にはそんなものはなく、高額な飲料水の自動販売機と、公衆電話と、椅子が何脚かある程度だった。

　「さて、どこに行ったものか。」
　俺は待合室の片隅に置いてあるパンフレットを手に取ってみた。しかし、内容はこの都市の地図と公共機関の場所が大半を占め、広告欄にホテルとタクシー会社がいくつか載っているだけだ。手がかりが少なすぎる。いったい、どこに行けば新たな食材が見つけられるのか。

　宇宙船のライブラリから、この都市周辺の地図はデータ端末にダウンロードしてきたが、地形とオアシスの場所が書いてあるくらいで、どこにどのような施設があるのか、そもそもオアシスに人が住んでいるのかさえ分からない。タクシーの運転手に聞けば、どこかに連れて行ってくれるだろうか。