ビクトリーラーメンマンシリーズ第3弾 砂の惑星

 俺が最初に出張したときは、小さなレンタル宇宙船で、操縦席の後ろがすぐベッドと、立つこともできず、食事もトイレもすべてベッドの上で、トラックの運転席かというほど狭い船内だったが、最近会社から支給されたこの調査宇宙船は操縦室と寝室が別という、俺にとっては夢のような広さであった。豪華と言うにはほど遠いが、宙航をするには必要十分な宇宙船だった。俺は操縦室のライブラリでドゥーン砂の惑星を検索した。

 ドゥーン砂の惑星は大部分が岩場と砂漠で、南半球の下半分が海である。地軸が大きく傾いて公転しているために、1年のうち数日間は雨期となるが、すべて砂にしみ込んでしまい、大地を潤すには程遠い。砂漠には小さな塩水のオアシスがいくつかあるくらいで、大きな都市もほとんどない。唯一、宙港がある首都は海岸にあり、太陽光発電と淡水化施設で真水を製造して、それで数千人が暮らしている。オアシスも海は塩分濃度が高すぎで水産物はほとんど取れないらしい。

 砂漠に塩湖、いったいどんな食材があるのだろうか。たいした食材がないことが証明できれば出張完了なのだろうか。俺は出張を命じた会社の意図をいぶかしんだ。もしかすると、俺は試されているのかもしれない。俺は疑念を抱きつつ、調査宇宙船のベッドで数日のコールドスリープに入った。
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