<工学的SFアプローチ講座> パワードスーツはいらない!

   **4** 動力源からのアプローチ

 「空を越えて~、ラララ星のかなた~、行くぞ~、アトム~・・・」そう、あのアトムは原子力で動いていた。では、パワードスーツは何で動くのだろうか。まさか、原子力と言う人はいないであろう、あまりにもSFすぎる。では「風よ!光よ!」と叫んで、風力発電と太陽電池で動くか・・・。そうはいくまい。

 パワードスーツの動力源は、その性格上、小型・軽量・大容量・持続性が要求される。そして今、最も有望視されるのは、ガソリンエンジンである。まるで地面にへばりついたような動力源だが、これ以上のものはない。この時点で「電気」と答えた人はもう読まなくて結構です。

 他にも圧搾空気、はずみ車、ばね(ばかにしてはいけない。それぞれ、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーとして、りっぱにエネルギーを蓄えられる)など考えられるが、ガソリンエンジン程有望ではない。これは、某W大の教授が言うので確実性は非常に高い。

 ここで、このガソリンエンジンを使うことで、また問題が起きてくる。重量の分布、熱の遮断、振動などがそれである。つまり、エンジンを背中に担ぐわけだから、体は前のめりになる。またエンジン自体、80~90度ぐらいの温度になるので、背中はかなり装甲を厚くする必要がある。そして、体はさらに前のめりになり、終には······。

 次に動力として考えられるものは現在のところサーボモーター(数値制御モーター)が有力である。他にも、油圧やペーハーによって伸縮する金属、空気圧などもあるが実用性は低い。

 結局、パワードスーツは背中のガソリンエンジンで発電し、サーボモーターで歩くわけだが、こうなると外部動力源も考えられる。つまり、有線である。しかし、有線にするならリモコンがいいし・・・

 なお蛇足ではあるが、ガソリンエンジンは宇宙では使えない。
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