【スイーパー3】リングケース
しばらくして、トビーは、5cmほどの大きさの金属のケースを持って操縦席に戻ってきた。ケースのまわりはレリーフになっており、蓋の付いたリングケースのようだった。
「イサナ船長、これですけど、底につまみがついてるから、オルゴールになっているんじゃないですかね・・・。外はだいぶ劣化してますね。そういえば、この航路は20年くらい前にも、郵便船の事故があったって言ってたから、その時のかも。良く残ってたなぁ・・・」
イサナ船長は、そのケースを見て、忘れていた記憶が鮮やかによみがえり、言葉を失った。このリングケースは、自分がエンゲージリングを入れて、メッセージと共に彼女に最後に送ったリングケースじゃないだろうか。
当時の自分としてはかなり奮発して、給料1ヶ月分のエンゲージリングを購入し、一番豪華そうなリングケースを宝石商に選んでもらったのだ。このレリーフは間違いない。オルゴールの曲も、宝石商と相談して、当時人気の映画の主題歌にしたのだった。
そうか、郵便船が事故に遭って、メッセージもエンゲージリングも彼女に届いていなかったのか・・・。それで、不幸な結末になってしまったということか・・・。イサナ船長は、失われた20年の隙間が埋まったように感じた。
「イサナ船長、オルゴールのゼンマイが巻けたんで、蓋を開けてみますよ。さて、何が出るかな?」
トビーは高価な宝石が出てくることを期待しているのだろう。しかし、イサナ船長にとっては、彼女に届かなかった、無念のエンゲージリングが出てくることが疑いようのない事実だった。
「♪♪♪♪♪♪・・・」
二人が見守る中、オルゴールからはメロディが流れ出した。しかし、リングケースは空っぽだった。
「空っぽかぁ・・・」
トビーは残念そうにつぶやいた。
「映画の主題歌じゃない・・・」
イサナ船長はトビーの横で小さくつぶやいた。それは、イサナ船長が宝石商と相談して選んだ曲ではなかった。リングケースの外観は同じような感じだったが、彼女に送ったものではなかったようだ。
「それはそうだな・・・」
彼女に送ったリングケースもメッセージもきっと届いていたのだろう。届いたうえで、彼女は返事をして来なかったということだ。
イサナ船長は、リングケースをいつまでも見つめながら、彼女の笑顔を思い出していた。
おしまい
「イサナ船長、これですけど、底につまみがついてるから、オルゴールになっているんじゃないですかね・・・。外はだいぶ劣化してますね。そういえば、この航路は20年くらい前にも、郵便船の事故があったって言ってたから、その時のかも。良く残ってたなぁ・・・」
イサナ船長は、そのケースを見て、忘れていた記憶が鮮やかによみがえり、言葉を失った。このリングケースは、自分がエンゲージリングを入れて、メッセージと共に彼女に最後に送ったリングケースじゃないだろうか。
当時の自分としてはかなり奮発して、給料1ヶ月分のエンゲージリングを購入し、一番豪華そうなリングケースを宝石商に選んでもらったのだ。このレリーフは間違いない。オルゴールの曲も、宝石商と相談して、当時人気の映画の主題歌にしたのだった。
そうか、郵便船が事故に遭って、メッセージもエンゲージリングも彼女に届いていなかったのか・・・。それで、不幸な結末になってしまったということか・・・。イサナ船長は、失われた20年の隙間が埋まったように感じた。
「イサナ船長、オルゴールのゼンマイが巻けたんで、蓋を開けてみますよ。さて、何が出るかな?」
トビーは高価な宝石が出てくることを期待しているのだろう。しかし、イサナ船長にとっては、彼女に届かなかった、無念のエンゲージリングが出てくることが疑いようのない事実だった。
「♪♪♪♪♪♪・・・」
二人が見守る中、オルゴールからはメロディが流れ出した。しかし、リングケースは空っぽだった。
「空っぽかぁ・・・」
トビーは残念そうにつぶやいた。
「映画の主題歌じゃない・・・」
イサナ船長はトビーの横で小さくつぶやいた。それは、イサナ船長が宝石商と相談して選んだ曲ではなかった。リングケースの外観は同じような感じだったが、彼女に送ったものではなかったようだ。
「それはそうだな・・・」
彼女に送ったリングケースもメッセージもきっと届いていたのだろう。届いたうえで、彼女は返事をして来なかったということだ。
イサナ船長は、リングケースをいつまでも見つめながら、彼女の笑顔を思い出していた。
おしまい
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