【スイーパー3】リングケース
「イサナ船長、そろそろ定位置に到達しましたんで、装置を回転しつつ、ネットを展開していきますよ」
「わかった、やってくれ。今回の委託内容は、どのくらい掛かるんだったかな?」
「ネット展開に3時間、スタート位置から、ゴール位置まで1週間。
その後、位置を20kmずらしてスタート地点に帰る。
これを、3往復半ですから、7週間、約2ヶ月ですね」
トビーは、そんなことは分かっているだろうと言わんばかりに事務的に答えた。
「あー、やはり長いな。しかも、デブリが取れたとしても、1日に数個取れればいいほうだからな・・・」
イサナ船長も、単調で長期間の業務を前に、あきらめ気味につぶやいた。
宇宙船が何らかの原因で爆発すると、その残骸は四散することになるが、航路に留まるデブリは少ない。多くは惑星や衛星の重力に引っ張られて落下し、まれに初速の速かったデブリは楕円軌道を描いて宇宙を漂流し続けることになる。
もっとも最近は宇宙船は四散しにくい構造になっており、外板や、構造材は爆発してもシートやワイヤーでつながった状態が保たれるようになっていた。
「そういえば、イサナ船長、大昔はこの辺で貨物船に乗っていたって、言ってませんでしたっけ・・・」
「そうだな、もう20年前くらいかな。定期貨物船に乗り込んで仕事をしながら、一級宙航士の資格を目指していたなぁ・・・」
イサナ船長はそう言いつつ、当時のことを思い出していた。
彼女と知り合ったのは宇宙港の本屋だった。一級宙航士の参考書を探している時に、本を落としてしまい、それを彼女が拾ってくれたのがきっかけだった。
その後、食事に行ったりするようになり、かなり親密な仲になってきたと思っていたが、イサナ船長は定期貨物船の乗組員のため、いつでも会えるわけではなかった。そうこうするうち、彼女は別の星へ行くこととなり、その後はハイパー通信でのやり取りする遠距離恋愛となったが、いつしか返事が来なくなり、それっきりとなってしまった。イサナ船長にとっては忘れられない苦い過去であった。
「イサナ船長、イサナ船長、ディスプレイ見て、何たそがれてるんですか? 似合いませんよ・・」
イサナ船長は彼女との記憶に思いを馳せていたが、トビーの呼びかけに現実に引き戻された。
「あー、ちょっとな。ん、似合わないだって、大きなお世話だ」
イサナ船長はトビーに返事をしつつ、彼女との最後のやり取りは何だったのか思い出せず、もどかしい思いをしていた。
航路を何往復かし、数週間が過ぎたころ、操縦室に小さなアラームが鳴った。
「イサナ船長、起きてください。スパイダーが何か金目の物をみつけたみたいですよ。ちょっと取ってきますから、操縦室に居てください」
「ん、わかった、待っとく・・・」
操縦室の横の船長室で眠っていた、イサナ船長はスピーカー越しに返事を返した。
スイーパーの業務では、極めて稀にお宝に遭遇することがある。それらのお宝はスイーパーが手に入れて良いことが暗黙の了解となっていた。
このため、この『パス・オプティマイズ』でも、スパイダーに搭載したAIが単なる宇宙ゴミと判断できないものは、ドッキングベース近くの保管庫に持ってきて、乗組員が価値を確かめることができるようになっていた。
「わかった、やってくれ。今回の委託内容は、どのくらい掛かるんだったかな?」
「ネット展開に3時間、スタート位置から、ゴール位置まで1週間。
その後、位置を20kmずらしてスタート地点に帰る。
これを、3往復半ですから、7週間、約2ヶ月ですね」
トビーは、そんなことは分かっているだろうと言わんばかりに事務的に答えた。
「あー、やはり長いな。しかも、デブリが取れたとしても、1日に数個取れればいいほうだからな・・・」
イサナ船長も、単調で長期間の業務を前に、あきらめ気味につぶやいた。
宇宙船が何らかの原因で爆発すると、その残骸は四散することになるが、航路に留まるデブリは少ない。多くは惑星や衛星の重力に引っ張られて落下し、まれに初速の速かったデブリは楕円軌道を描いて宇宙を漂流し続けることになる。
もっとも最近は宇宙船は四散しにくい構造になっており、外板や、構造材は爆発してもシートやワイヤーでつながった状態が保たれるようになっていた。
「そういえば、イサナ船長、大昔はこの辺で貨物船に乗っていたって、言ってませんでしたっけ・・・」
「そうだな、もう20年前くらいかな。定期貨物船に乗り込んで仕事をしながら、一級宙航士の資格を目指していたなぁ・・・」
イサナ船長はそう言いつつ、当時のことを思い出していた。
彼女と知り合ったのは宇宙港の本屋だった。一級宙航士の参考書を探している時に、本を落としてしまい、それを彼女が拾ってくれたのがきっかけだった。
その後、食事に行ったりするようになり、かなり親密な仲になってきたと思っていたが、イサナ船長は定期貨物船の乗組員のため、いつでも会えるわけではなかった。そうこうするうち、彼女は別の星へ行くこととなり、その後はハイパー通信でのやり取りする遠距離恋愛となったが、いつしか返事が来なくなり、それっきりとなってしまった。イサナ船長にとっては忘れられない苦い過去であった。
「イサナ船長、イサナ船長、ディスプレイ見て、何たそがれてるんですか? 似合いませんよ・・」
イサナ船長は彼女との記憶に思いを馳せていたが、トビーの呼びかけに現実に引き戻された。
「あー、ちょっとな。ん、似合わないだって、大きなお世話だ」
イサナ船長はトビーに返事をしつつ、彼女との最後のやり取りは何だったのか思い出せず、もどかしい思いをしていた。
航路を何往復かし、数週間が過ぎたころ、操縦室に小さなアラームが鳴った。
「イサナ船長、起きてください。スパイダーが何か金目の物をみつけたみたいですよ。ちょっと取ってきますから、操縦室に居てください」
「ん、わかった、待っとく・・・」
操縦室の横の船長室で眠っていた、イサナ船長はスピーカー越しに返事を返した。
スイーパーの業務では、極めて稀にお宝に遭遇することがある。それらのお宝はスイーパーが手に入れて良いことが暗黙の了解となっていた。
このため、この『パス・オプティマイズ』でも、スパイダーに搭載したAIが単なる宇宙ゴミと判断できないものは、ドッキングベース近くの保管庫に持ってきて、乗組員が価値を確かめることができるようになっていた。
