【スイーパー2】幽霊船

 それから数分後、コーネリアス号は漂流宇宙船に速度を合わせ、徐々に接近させていった。
「船長、やはり、どこも壊れていないですね。エンジンは見慣れない形式ですけど・・」
「確かに。なぜ、漂流しているのか謎だな。
 トビー、このエンジンを見るのは初めてか。これは昔懐かしい固体ロケットだな。
 イオンエンジンが実用化される前に主流だった奴だ。
 このエンジンで、この速度に達するには相当の多段ロケットを使ったのだろうな」
「ふーん・・・」
 トビーはエンジンよりも漂流の原因の方に関心があるようだった。
「乗り込んでみるしかないな・・・」


 数分後、2人は宇宙服に着替え、コーネリアス号のエアロックを出て、漂流宇宙船のエアロックへと向かった。エアロックはコーネリアス号とほとんど変わらない標準的なものだった。

 トビーはレバーを操作してハッチを開け、エアロックに入った。そして、外側のハッチを閉めると、与圧が始まった。
「イサナ船長、すごいですね。エアロックは生きてますよ。与圧が終わったら、マスクは外しても良さそうですね」
「いや、トビー、状況がはっきりするまで、マスクは被ったままにしよう。もしかすると、ウイルス汚染とか、毒をもった昆虫とかもあり得るし、何より死体の腐敗臭がするかもしれないぞ・・・」
 トビーは小さく首をすくめた。


 船内は与圧されており、エアロックから一歩踏み出すと、自動で通路に照明がついた。
「イサナ船長、電源も生きてますね。100年も経っているのに・・・」
「原子力電池か、小型の核融合炉を持っているかもしれんな・・」

 二人は恐る恐る操縦室へと踏み入れたが、そこには死体はなかった。
「最後は、操縦席で息絶えると思っていたが、誰もいないな・・・」
「どっかでコールドスリープでもしてるんですかね?」
 二人は船内をくまなく探したが、どこにも死体もコールドスリープの装置もなかった。

「誰もいないですね。乗組員はどこに行ったんでしょう?」
「わからんな。
 エアロックの横の宇宙服のロッカーには、未使用の宇宙服があったから、何かの原因で船から脱出したということではなさそうだ。
 まあ、宇宙服なしで、真空に飛び出すってこともないとは言えないが・・・。
 貨物室には、食料や水らしきイラストのある箱が大量にあったので、誰か乗っていたのは間違いないと思うのだが・・・。
 現代の幽霊船ってところだな」

「イサナ船長、操縦席で、この薄い本みたいなのを見つけたんですけど・・・」
 トビーは、表紙に人のイラストの付いた小冊子をイサナ船長に手渡した。
「これはなんだ? 全く字が読めんな。どこの国の字だろう。船籍も調査しないといけないので、連邦政府に画像を送っておくか・・・」
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