【スイーパー2】幽霊船

                          -修.

「イサナ船長、今度の航海は何を引き受けたんですか?」
 副操縦士、兼、機関士、兼、調理師のトビーは、操縦席に座り、ディスプレイを見つめたままイサナ船長に話しかけた。

「そうだな、一言で言えば漂流宇宙船の調査と曳航だ・・・」
 答えたイサナ船長は、正操縦士、兼、航海士、兼、医師である。

「調査? 俺たちがですか? それって普通は保険屋さんがやりますよね」
「トビー、それがな、ちょっと事情があるんだ。
 数日前、連邦政府の無人プローブのレーダーが、金属反射を検知したそうだ。分析した結果、どうも宇宙船らしいということは分かったが、その宇宙船はビーコンを出していなかった。
 そして、光速の半分ほどの速度で慣性飛行してるんだが、今の軌道と速度から逆算すると、約100年前に地球を出発したことになるらしい」

「100年前ですか。それじゃあ、まだビーコンを出すことが法制化されてない時代ですよね。いやいや、それ以前に連邦政府もできてないのか・・・。いったい、何の目的で飛んでるんだろう・・・」
「うむ、それも含めての調査だな。まあ、コールドスリープの可能性もゼロではないが、たぶん乗組員は全員死亡しているだろう。少なくとも、現段階では船籍不明なので、保険屋さんは動けないってことだな」
「で、安く使える俺たちで調査、ってことですか。連邦政府は相変わらずですね」

 現在は、宙航しているすべての宇宙船は船籍と位置情報を発信し続ける義務がある。そして、連邦政府はすべての宇宙船の現在位置を把握することで、宇宙船同士の衝突を回避したり、万一の事故の際の救難を行ったりしている。逆に言えば、ビーコンを出していない宇宙船は、難破船か、あるいは海賊など違法行為を働いている宇宙船くらいなものだろう。

 二人が乗るコーネリアス号は、全長50mほどの小型の宇宙船である。両脇にはスピードこそ出ないが、高推進力のイオンエンジン2基を搭載している。乗組員はイサナ船長とトビーだけだ。就航後、かなりの年数が経っており、装備には古さが目立つ。

 コーネリアス号のように、連邦政府からの業務委託で、難破船の曳航、使用済衛星やスペースデブリの回収を行う掃除屋は「スイーパー」と呼ばれていた。業務の性格上、宙航は、1ヶ月から半年と長期にわたる場合が多い。


「イサナ船長~、見えましたよ」
 光学望遠カメラの映像を見ていたトビーが、イサナ船長を呼び出した。イサナ船長は隣にある狭い船長室から操縦席へと急いで移動してきた。
「どこだ?」
 トビーはディスプレイの一箇所を指さした。
「これですね」

 ディスプレイには、コーネリアス号とほぼ同じ大きさの宇宙船が映っていた。
「この画像を見る限り、どこも壊れてるようには見えないですね。難破船じゃないのかな?」
「まあ、もう少し近づいてみないと詳しいことは分からんな」
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