時の墓標

 が、この振動がグレートクエスト号の正常な着陸を示すものか、あるいは破壊を示すものかはこの巨大な宇宙船の中からは判らなかった。調査船グレートクエスト号が無事であればまもなく船長から連絡が入るだろう。

 しかし、それらは今となってはどうでも良いことだった。良い結果であれば良く、悪い結果であれば悪いというだけのことだ。

 どちらにしろ、何等かの影響を受けたに違いないメインコンピューターは使わず、信頼性の薄い航行用サブコンピューターのみで母星までの遠大な距離を走破することはあまりにも危険な賭けだったし、またよしんば帰り着くことが出来たとしても、母星へ近付くことは母星のコンピューターを同様の状況へと導いてしまう可能性が高く、そのような危険を犯すわけにはいかなかった。どのみち囚われの身である。

 時に忘れられた都市は、植民星フィアイーガの大地の中に墓標のように静かに朽ち果てつつあった。しかし、本当の墓標は見るも無惨なコンクリートの塊ではなく、来るものを全て虜にしてしまう、未だに息づくシティコンピ ューターそのものであった。

 俺は、調査船グレートクエスト号と合流、あるいはその残骸を確かめるべく、無情に情報を表示し続けるオペレーションルームを後にした。
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