クリストファー船長の失敗学
-修.
「・・・然るに、この世の中で天才的ひらめきは自然に出てくるわけではない。数多くの失敗を重ねた者だけが、天才的ひらめきに辿り着けるのだ。
我がミレニアムイーグル号は運べる貨物の量が少ない。何十本ものコンテナを一挙に運べる大型貨物船にはかなうはずもない。だから、大手のやらないような特殊な貨物、特殊な運送を行わないといけないのだよ。
トム、分かったかね?」
「クリストファー船長、大丈夫ですか。ジェニアス星でどこかに消えたと思ったら、何か悪いものでも食ったんじゃないですか?」
二人が乗り込んでいる小型貨物船ミレニアムイーグル号は、長さ100フィート、縦横20フィートの直方体の宙航用コンテナ1個を腹部に抱え込んだ形状をしている。コンテナには、一方の端面に、観音開きの、貨物搬入用の巨大な機密扉が付いている。
コンテナの前方には操縦席と居住スペース、後方には宙航エンジンがあり、その間は魚の背骨のようなフレームがつないでいる。そしてフレームからはコンテナを抱える左右それぞれ4本の把持腕が出ている。コンテナがない状態では食べ終わった魚の骨のように見えることから、フィッシュボーン船と揶揄されることもある。
ミレニアムイーグル号は基本的には太陽系内の短距離貨物用だが、今回はアデヌス星系のジェニアス星まで美術工芸品を運んだ後、太陽系に戻るべく発進したところだった。
「船長、ジェニアス星で、どこほっつき歩いていたんですか?
だいたい、帰りのコンテナが空っぽですけど、いいんですか?」
「ふふふ、トム、仕方ない。教えてあげよう」
クリストファー船長は、したり顔で、もったいぶって話し始めた。
「ジェニアス星が、なぜ、ジェニアス星と呼ばれているか知っているかね?」
「あー、この星出身の天才が多いから、ジェニアス星って呼ばれることになったんでしょ。船長がどっか行ってる間、暇だったんで検索してたんですよ」
「トム、俺の心配はしていなかったんだな。まぁ、それはいいか・・・。
その通りだ、この星は、天才と呼ばれるレベルの、学者や、芸術家、事業家などを数多く輩出している」
「それがどうかしたんですか?」
「俺はその理由を探るべく、ジェニアス星の図書館で調査をしていたのだ・・・」
「えー、帰りのついでに運べる荷物がないか、あちらこちらに商談に行ったほうが良かったんじゃないですか?」
「まあ、トム、話は最後まで聞くもんだ。」
「また、金にならないことを・・・」
「まあまあ。そして、俺は遂に1週間ほど前に発表された論文に辿り着いた。すごいだろ」
「何がすごいのか、さっぱり分かりませんけど・・・」
船長は、トムの反応には全く興味がないように続けた。
「トム、なんと、その論文は、天才を生み出す原因を示唆していたのだ」
「ほう。で、何だったんですか・・・」
「聞いて驚くなよ」
「じゃあ、聞くのは止めようかな・・」
「いやいや、我慢して聞いてくれ。
その論文では、ジェニアス星の大気中に浮遊する微量元素が原因の可能性があると結論付けていた」
トムは、何か合点がいったように、大きくうなずいた。
「はぁーん、それで大気をいっぱい吸った船長が、にわかに理屈っぽくなったということですね」
「いやいや、そこじゃない。まあ、そうかもしれないが・・・」
「・・・然るに、この世の中で天才的ひらめきは自然に出てくるわけではない。数多くの失敗を重ねた者だけが、天才的ひらめきに辿り着けるのだ。
我がミレニアムイーグル号は運べる貨物の量が少ない。何十本ものコンテナを一挙に運べる大型貨物船にはかなうはずもない。だから、大手のやらないような特殊な貨物、特殊な運送を行わないといけないのだよ。
トム、分かったかね?」
「クリストファー船長、大丈夫ですか。ジェニアス星でどこかに消えたと思ったら、何か悪いものでも食ったんじゃないですか?」
二人が乗り込んでいる小型貨物船ミレニアムイーグル号は、長さ100フィート、縦横20フィートの直方体の宙航用コンテナ1個を腹部に抱え込んだ形状をしている。コンテナには、一方の端面に、観音開きの、貨物搬入用の巨大な機密扉が付いている。
コンテナの前方には操縦席と居住スペース、後方には宙航エンジンがあり、その間は魚の背骨のようなフレームがつないでいる。そしてフレームからはコンテナを抱える左右それぞれ4本の把持腕が出ている。コンテナがない状態では食べ終わった魚の骨のように見えることから、フィッシュボーン船と揶揄されることもある。
ミレニアムイーグル号は基本的には太陽系内の短距離貨物用だが、今回はアデヌス星系のジェニアス星まで美術工芸品を運んだ後、太陽系に戻るべく発進したところだった。
「船長、ジェニアス星で、どこほっつき歩いていたんですか?
だいたい、帰りのコンテナが空っぽですけど、いいんですか?」
「ふふふ、トム、仕方ない。教えてあげよう」
クリストファー船長は、したり顔で、もったいぶって話し始めた。
「ジェニアス星が、なぜ、ジェニアス星と呼ばれているか知っているかね?」
「あー、この星出身の天才が多いから、ジェニアス星って呼ばれることになったんでしょ。船長がどっか行ってる間、暇だったんで検索してたんですよ」
「トム、俺の心配はしていなかったんだな。まぁ、それはいいか・・・。
その通りだ、この星は、天才と呼ばれるレベルの、学者や、芸術家、事業家などを数多く輩出している」
「それがどうかしたんですか?」
「俺はその理由を探るべく、ジェニアス星の図書館で調査をしていたのだ・・・」
「えー、帰りのついでに運べる荷物がないか、あちらこちらに商談に行ったほうが良かったんじゃないですか?」
「まあ、トム、話は最後まで聞くもんだ。」
「また、金にならないことを・・・」
「まあまあ。そして、俺は遂に1週間ほど前に発表された論文に辿り着いた。すごいだろ」
「何がすごいのか、さっぱり分かりませんけど・・・」
船長は、トムの反応には全く興味がないように続けた。
「トム、なんと、その論文は、天才を生み出す原因を示唆していたのだ」
「ほう。で、何だったんですか・・・」
「聞いて驚くなよ」
「じゃあ、聞くのは止めようかな・・」
「いやいや、我慢して聞いてくれ。
その論文では、ジェニアス星の大気中に浮遊する微量元素が原因の可能性があると結論付けていた」
トムは、何か合点がいったように、大きくうなずいた。
「はぁーん、それで大気をいっぱい吸った船長が、にわかに理屈っぽくなったということですね」
「いやいや、そこじゃない。まあ、そうかもしれないが・・・」
1/2ページ
