宇宙卓球大会

「ん、ACG2567選手から審判にクレームが入りました。なになに・・・」
 実況のハリスは、審判と選手の言い合いに耳を傾けているようだった。
「あー、ACG2567選手のクレームは、相手選手がラケット3本も持っているのは反則だろうというもののようです。
 あっ、ギュリ選手側からも反論とクレームが入りました。
 腕が多いのは我々の身体的な特徴で、別に試合のために増やしたものではなく、ルール違反ではない。そっちこそ、そんなに腕が長いのは反則だろうということです。」
「うーん・・・」
 ハリスはルールブックをめくり出した。
「どうなのですか。」
「どうもルール違反ではないようですね。」

 試合が開始された。ギュリ選手は予想通り鉄壁の守りで、どこに打っても強力なスマッシュで返していた。対するACG2567選手も長い腕を巧みに動かし、変化球を混ぜた返球で対応していた。そして、激戦の末、4本腕のギュリ選手が勝利した。

 その後もトーナメントは進み、2回戦となった。

「第2回戦、再び、4本腕のギュリ選手の登場となります。相手は・・・」
「ドローでは第1シードの登場ですね。いったい、どんな強力な選手なのでしょうか・・・」
「はい、情報では、ゴッデス星の神族、アフローナ・セレル選手・・・・」
「神族って、神様ですか・・・」
「えー、情報ではそのように・・」

「おおおおお・・・」
 再び、アリーナが歓声に包まれた。そこには、絹のローブのよう羽衣をまとった、女性とも男性ともつかない人間型の異星人が立っていた。しかしその両肩からはそれぞれ20本はあろうかという腕が生え、どこからともなく金色の光を浴びているようだった。

「千手観音・・・。あれが第1シード・・・」
 ハオは思わず、つぶやいた。
「ハオさん、そうですね。あれが、第1シード、神族のアフローナ・セレル選手です。んんん、また、ギュリ選手からクレームが入りました。」
「神にクレーム・・・」
「えーっと、何々、腕の数が多すぎるだろうと・・・」

 セレル選手の腕には、1本を残し、すべてラケットが握られていた。

おしまい
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