独立歩兵

 頭を打ったためか、足の痛みはさほど感じられなかった。俺は少年時代の屈辱の日々を思い出した。昔、国はひどかった。特にみなしごにとっては最悪の状態であった。

 しかし、母星で戦争が始まり、わが植民星も統一が始まり、軍隊が構成されて、母星を救うべき立ち上がった。俺はそのころ職もなく生活にも困っていたので、しかたなく軍に入ったのではあったが、今思えば、軍での生活は俺にとって、最も充実した時間を与えてくれるものだった。

 その日々はつらく苦しかったが、今までに比べれば楽園の日々とも言えた。そして訓練過程がすべて終わり、母星へ行くところだったのに、どことも知れぬ惑星で野垂れ死にとは情けないことである・・・。

 しかし、遅い、遅すぎる。敵のロボットは何をしているのだろうか、俺は血が流れ出ている左足を引きずりながら、岩の横から顔を出した。焦点が合わない。しかも頭から出た血が目にはいった。俺は目をこすりながら、相手を見極めようと努めた。

 目がだんだんと見えてくるについて、俺は力が抜けていくのを感じた。ロボットはわずか10mのところに倒れていた。頭の半分が吹っ飛んでいる。

 どうやら逃げ出したのはフェイントだったらしい。ロボットも偶然に起こることは予測のしようがない。突っ込んできたところを思わぬ方向から手榴弾が飛んできて、計算している間に頭に当たったらしい。しかし、俺も勝ったという気持ちは起こらなかった。俺ももうすぐ出血多量で死ぬ身なのだ。
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