独立歩兵

 そいつは両方の膝をついて重心をしっかりさせ、両方の腕で、2、3個の石を一度に、アンダースローで空高く投げ上げた。相手の作戦パターンは教練所で習ったものであった。

 無視すればヘルメットや肩を直撃し、悪くすれば骨が折れる。かといって、後ろに下がればもっと低い放物線を描く石が飛んでくる。また、左右に出ればレーザー砲の狙い撃ちである。

 こういう場合はこちらも石を投げる。一度に3個ぐらい。と同時に次の岩に移り、移りざまに石を1個と手榴弾を投げる。常に先手でいかなければならない。

 敵は手榴弾をレーザーで破壊した。ヘルメットを通して衝撃波が襲ってきた。そしてすぐ後に爆風が襲ってきた。チャンスだ。俺は岩から出て、さっきまで奴がいたところの右(左にいったらどうしようもないが・・・)1mぐらいの高さのところを、2、3秒続けて機関銃を掃射した。

 奴がさっきと同じ場所にいるはずがなく、また爆風の中を立ったままでいるはずもない。

 コンピューターを確率2分の1で攻められるということは、そういつもあるわけではない。掃射の後、俺は右後方の岩陰へ走った。そのとき、機関銃の先端が溶けていた。止まっている間にレーザーでやられたらしい。

 ということは、相手は左手にいたことになる。まずいことになった。こちらの手の内を見せ、しかも、それをやられたのである。そして、数秒、俺は岩陰で息を殺して煙が風に流されるのを待った。

 あの爆風の後なので赤外線レーダーの解析力も鈍っているはずだから、すぐに石が降ってくることも考えられない。ここは相手を見定めるのが先決である。
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