家政婦 No. META 調理オプション

 翌日、俺と妻はミータの提案に従い、スタンダードプランの夕食をミータに作ってもらうことにした。

 ミータは、自分で必要な食材を発注し、うちのキッチンで調理を始めた。防犯オプションのときは、1日ドック入りして装甲の追加など改造をしてきたが、調理オプションは現在のミータの仕様のままで対応できるらしい。

 ミータの野菜を切る速度は、一流の料理人の速度を凌駕するほどだった。しかも、正確に同じタイミングで同じ幅に切っている。また、調味料の軽量もすべて1つのスプーンで正確に行っているようだった。あとでミータに聞いたが、鍋やフライパンの温度は多点赤外線センサーで計測しているそうだ。ロボットならではの正確さがあるがゆえに、どのような料理でも正確に再現できるのだろう。

「すごいわね。」
 妻は食卓テーブルに並べられた料理を見て、思わず声が出ていた。「意識高い系」は伊達ではないようだ。どの料理も色とりどりで食欲をそそる盛り付けになっている。

「おいしい・・・」
 俺も料理を一口食べてつぶやいた。今まで味わったことがないスパイス・・・。ナッツやフルーツ、見たこともない野菜も使われており、ヘルシーであることも疑いようがない。妻もいたく感動しているようだった。
「本当にすごいわね。これを毎日食べられるようになるのかしら・・・」
「はい、奥様。今回は、できるだけ標準的な献立にしておりますが、レシピは数千種類ありますので、飽きることはないかと思います。」

 俺も妻も料理には大変満足していた。スタンダードプランでも、これだけのものが食べられるのなら安いものかも知れない。そして、料理を食べ終えるころ、妻がミータに話しかけた。
「ミータ、毎日こんなにおいしいものが出てきたら、私たち、太っちゃうんじゃないかしら・・・。体形維持とか成人病とかちょっと心配ね。」
「奥様、するどいご指摘かと思います。しかしながら、ご安心ください。
 意識高い系の方の料理は、見栄えを重視するがゆえに冷めておいしくなかったり、無添加やオーガニックを重視するあまり何がおいしいのか分らなくなったりします。そこで自動的に調整されるようになっております。」
「ふーん、たまにまずいのが出てくるってことなのね・・・」
 俺も妻も、なんとなくミータに言いくるめられたような気はしたものの、スタンダードプランを契約することは意見が一致しているようだった。

おしまい
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