戦いは市立武蔵が丘図書館

 折葉は、端末を操作し、図書館の今月のスケジュールに切り替えた。書庫の整理があっているなら、スケジュールに表示されるはずである。しかしそこには書庫の整理の予定はまったく入っていなかった。

 ではメインコンピュータのダウンか。しかし、オルファ・バージョン1は、一応引用文献を探しに行っており、メインコンピュータがダウンしているとは考えられなかった。

 では誰かが実際に使用しているのか。自分のプログラムに使用している引用文献を、すべて他人が使用している。そんな状況は信じられない、折葉は思った。

 今回は、最後の仕上げということで、すべての引用文献を同時にサーチしたが、プログラムの作成中はせいぜい1度に3つも使用すれば十分である。数百の引用文献を同時に使用することなど不可能であり、意味がない。

 しかし現実は現実である。折葉の脳裏に「単位」という文字が浮かんだ。そして、音を立ててがらがらと崩れ去った。冗談じゃない。プログラムは完成しているのに、ここで落第するわけには行かない。折葉は端末の上で頭を抱えた。端末に表示されたプログラムのリストは、教授の怒った横顔のようにも見えてきた。
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