戦いは市立武蔵が丘図書館

 「ここまでくれば安心ね。よくも、あんなど派手なことをやったわね。感心するわ。ちゃんと私のプログラムが、あんたのアドレスもアクセス記録もすべてクリアしといてあげたから、足がつくことはないけどね。」

 二人は、武蔵ヶ丘図書館から無事抜け出し、住宅街の中の公園に達していた。女は、はあはあ、ぜいぜいと息も絶え絶えに話した。

 「私は、斎藤えり。学生。どうも私のプログラムとあなたのプログラムは、目的が一緒だったようね。戦闘中に調べさせてもらったの。

 あなたも大学のレポートか何か?まさかあれほど同じパーツをいっぱい使っているなんてね。ちょっと戦闘の基本思想は違うみたいだけど。私にコピーくれない。私のはあんたに消されちゃったんだから、責任とってくれるでしょ。」

 「ああ、わかったよ。僕は折葉淳一。」
 折葉は自分の名前を告げるのがやっとだった。折葉の頭のフリーズはなかなか溶けなかった。さらに彼女は言葉を続けた。

 「なんか、私たち話しが合うかもね。」
 「ああ。」
 ちょっと微笑んだ彼女はわりとかわいい方であった。そしてなにより、理知的でもあった。
 「それと、ついでに、コーヒーでもおごってよ。」
 折葉は、小さくうなずいた。
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