戦いは市立武蔵が丘図書館

 しかし、その支離滅裂の表示のモニターの画面に折葉は唯一意味のある文字列を見つけた。それはオルファ・バージョン1の攻撃監視モニターであった。そこには、

 「物理的攻撃xcら+hfえ/rw=k…」と表示されていた。
 折葉は知らず知らずのうちに復唱していた。
 「物理的攻撃?物理的????」

 折葉は意味がわからず繰り返して言った。ミサイルでも飛んでくるのか。攻撃の凝り方から判断して、敵は単なるコンピュータマニアと思われる。そんな武器には無縁だろう。

 そして、すでに勝負はついている。武蔵ヶ丘図書館の全館の電源でもぶったぎろうというのか。折葉は端末から顔を上げ、立ち上がって周りを見回した。

 そして横を向いた瞬間、折葉はおもいっきり平手打ちをくらった。その音は図書館内に派手に響わたった。折葉は呆然として、自分を叩いたやつを見つめた。

 そこには黒のタートルネックを着たストレートヘアの女が立っていた。歳は自分と同じくらいで、学生だろうか。女は突然口を開いた。

 「よくもやってくれたわね。1年かかりで作ったのに。まさかこんな図書館で、同じ様なプログラムを走らせてる奴がいたなんて。」
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