戦いは市立武蔵が丘図書館

 敵のプログラム自体のガードは完璧のようだが、ハードウエアすなわち市立武蔵が丘図書館のメインコンピュータのガードまでは頭に入ってなかったようだ。生かしては帰さん。オルファ・バージョン1の仇は取る。

 7階のフロアーから、「あれー」とか、「おいおい」とか間の抜けた声が上がった。本を読んでいた人達はページがめくれなくなったり、画面がブラックアウトして、まわりを見回し始めた。

 いくら超近代的な図書館とはいえ、このような事態はないわけではなく、みんなまたかといった感じで、伸びをしたり、首を傾けたりして、端末の復活を待っているようであった。緊迫しているのは、折葉と敵だけであろう。所詮ここは図書館なのだから…。

 折葉の端末も、まわりの人々と同じ様にわけのわからない文字が表示されていた。オルファ・バージョン1もほぼ壊滅的な状況のようで、すべての自己診断モニターはすべて赤になっていた。
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