戦いは市立武蔵が丘図書館

 「メールの自動発信停止。受信メールはすべて無条件廃棄。ワークエリアイーター起動。索敵後に最大攻撃。」

 折葉は、かなりやばい攻撃を行った。敵のプログラムは相当堅固であるが、所詮市立武蔵が丘図書館のメインコンピュータ上で動いていることには違いない。

 敵のプログラムの動作自体はどうにもならなくても、メインコンピュータはそれほどガードが固いとは思われない。そもそもオルファ・バージョン1は各国、各機関のコンピュータから情報を得ることを目的としている。もちろん、聞き分けの悪いコンピュータには、ちょっとお痛をすることもある。折葉はそれを主眼においてこの調査ツールを制作してきたのだ。

 こんなもん、本当にレポートで提出して良いのだろうかとも思ったが、表面的には非常に品行方正なプログラムに仕上げており、たぶん見破られない自信があった。

 「ワークエリアイーター」は、敵のプログラムの使用しているメインコンピュータのワークエリアを探してクリアしていくというものだ。

 例えば、ワープロで作業をしているときにワークエリアイーターにワークエリアを食われると、いきなり文章が消えて白紙になってしまう。プログラムの動作自体は止められないが、ワークエリアが食われると運がよければ敵のプログラムは暴走してくれるかもしれない。
15/23ページ
スキ