戦いは市立武蔵が丘図書館

 折葉が入力を終わった途端、画面には次々にパスワードが表示され、変更されていった。そして、質問エリアにはどこかに住んでいる人の氏名と電話番号が、緊急、進展、受取確認など様々なレベルのメールとなって敵に発信されていった。敵が1度でも通信回線を開けば、次々とメールが送られてきて、他の作業が止まってしまうはずであった。

 「パスワードアタック停止。」
 一応相手の攻撃は止んだようである。しかしながら間髪をいれず、敵からの反撃が始まった。
 「現在、メールを受信中。先程発信したメールの返信の模様。現在1156通。秒50通ずつ増加中。」

 敵は、こちらが送った全部のメールを自動返信しているようである。もし、こちらがメール自動的に読むモードにしていたら、瞬時に端末はメモリー不足で停止していただろう。とても危ないところだった。

 しかし自動的にメールを返信するなどという機能は、オルファ・バージョン1にも入れていない。折葉の知る限り、そんなモジュールは見たことがなかった。敵は自分より1枚上手かもしれない。しかし…。折葉はまだ負けたわけではないと思った。そして次の手段に出た。
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