妖精乱舞
駅から自宅までは、田んぼの残る住宅地を抜けて10分くらいかかる。俺は夕暮れでオレンジ色になってきた空を眺めながら歩いた。自宅の方向には、たくさんの鳥が飛びまわっていた。この暗さだと、鳥ではなくこうもりかもしれない。
俺は自宅に近づくにつれ、飛び回る鳥が見分けられるようになってきた。
「これは・・・」
それは鳥でも、こうもりでもなく、おびただしい数の妖精だった。ざっと20人、いや20羽というべきか。薄暗がりになりつつあり、ランダムに飛び回っているため、細かくは見えないが、先ほど見たようなグリーンの他にも、ピンクだったり、オレンジだったりのドレスを着た妖精もいる。そして、飛んだ後には輝く粉のようなものがキラキラと舞っている。
「何事だろう・・・」
鳥なら縄張り争いだったり、求婚だったりするのかもしれないが、妖精がなぜこんなにたくさん飛び回っているのか想像もつかない。
今日は、よく妖精を見る日だ。この後、何かいいことが起こることを期待してもいいものだろうか・・・。
自宅に帰りつくと、父親が玄関で待ち構えていた。
「もう来られているから・・・」
父親に続いてリビングに入ると、ソファから二人の女性が立ち上がって出迎えた。
「こちらが結婚相手の・・・・」
「ミ、ミスキャンパス・・・」
俺には既に父親の説明は耳に届かなくなっていた。二人の女性のうちの若い方は、なんと、去年の学園祭で1位になったミスキャンパスだった。
「で、こちらが娘さんの・・・、おまえ、聞いているか? 娘さんばっかり見て・・・。あまりに美人でフリーズしたか・・・」
父親と結婚相手の女性は二人して笑っていた。
「い、いや・・・、もしや去年のミスキャンパスの・・・」
俺は何とか言葉を発した。
「はい、友達が勝手に応募しちゃって、仕方なく出たら優勝しまして・・・」
俺が勝手に想像していたより、もの静かだ。
「なんだ、おまえ知っているのか。それなら話が早いな。」
いったい何の話が早いのだろう、俺はすでに頭が回っていなかった。
「彼女も数年前にご主人を亡くされていて、うちと同様、母子家庭でやって来られたのだ。今回、俺と彼女が結婚することで収入は2倍になるものの、おまえと娘さんは同じ大学に通う学生なので、何かと金もかかる。だから、今月中に向こうの家は引き払って、この家に引っ越してもらおうと思う。」
「夫婦だから当然だろうな・・・」
俺はなんとなく返事をしたものの、ことの重大さが徐々に分かってきた。
「ん・・」
これはもしや、ミスキャンパスと同棲・・・。いや、付き合っているわけではないので「同棲」はおかしいか。子供同士が一つ屋根の下に住むのは当然と言えば当然。血こそつながってないが・・・。
しかし、いきなり男だけの家に入ってきて大丈夫なのか。彼女も母親の手伝いをしていたとすれば、お互いにお互いの下着も洗濯するといった家事分担になるだろうか。
いやいや、待て。それ以前に年頃の男女がいきなり同じ家に住んで大丈夫なのか。まあ、シェアハウスと思えばいいか・・・。
俺の妄想は止まることがなかった。しかし、少なくとも、ミスキャンパスとお知り合い以上の関係になるのは間違いないだろう。俺には乱舞する妖精たちの映像が浮かんでいた。
おしまい
俺は自宅に近づくにつれ、飛び回る鳥が見分けられるようになってきた。
「これは・・・」
それは鳥でも、こうもりでもなく、おびただしい数の妖精だった。ざっと20人、いや20羽というべきか。薄暗がりになりつつあり、ランダムに飛び回っているため、細かくは見えないが、先ほど見たようなグリーンの他にも、ピンクだったり、オレンジだったりのドレスを着た妖精もいる。そして、飛んだ後には輝く粉のようなものがキラキラと舞っている。
「何事だろう・・・」
鳥なら縄張り争いだったり、求婚だったりするのかもしれないが、妖精がなぜこんなにたくさん飛び回っているのか想像もつかない。
今日は、よく妖精を見る日だ。この後、何かいいことが起こることを期待してもいいものだろうか・・・。
自宅に帰りつくと、父親が玄関で待ち構えていた。
「もう来られているから・・・」
父親に続いてリビングに入ると、ソファから二人の女性が立ち上がって出迎えた。
「こちらが結婚相手の・・・・」
「ミ、ミスキャンパス・・・」
俺には既に父親の説明は耳に届かなくなっていた。二人の女性のうちの若い方は、なんと、去年の学園祭で1位になったミスキャンパスだった。
「で、こちらが娘さんの・・・、おまえ、聞いているか? 娘さんばっかり見て・・・。あまりに美人でフリーズしたか・・・」
父親と結婚相手の女性は二人して笑っていた。
「い、いや・・・、もしや去年のミスキャンパスの・・・」
俺は何とか言葉を発した。
「はい、友達が勝手に応募しちゃって、仕方なく出たら優勝しまして・・・」
俺が勝手に想像していたより、もの静かだ。
「なんだ、おまえ知っているのか。それなら話が早いな。」
いったい何の話が早いのだろう、俺はすでに頭が回っていなかった。
「彼女も数年前にご主人を亡くされていて、うちと同様、母子家庭でやって来られたのだ。今回、俺と彼女が結婚することで収入は2倍になるものの、おまえと娘さんは同じ大学に通う学生なので、何かと金もかかる。だから、今月中に向こうの家は引き払って、この家に引っ越してもらおうと思う。」
「夫婦だから当然だろうな・・・」
俺はなんとなく返事をしたものの、ことの重大さが徐々に分かってきた。
「ん・・」
これはもしや、ミスキャンパスと同棲・・・。いや、付き合っているわけではないので「同棲」はおかしいか。子供同士が一つ屋根の下に住むのは当然と言えば当然。血こそつながってないが・・・。
しかし、いきなり男だけの家に入ってきて大丈夫なのか。彼女も母親の手伝いをしていたとすれば、お互いにお互いの下着も洗濯するといった家事分担になるだろうか。
いやいや、待て。それ以前に年頃の男女がいきなり同じ家に住んで大丈夫なのか。まあ、シェアハウスと思えばいいか・・・。
俺の妄想は止まることがなかった。しかし、少なくとも、ミスキャンパスとお知り合い以上の関係になるのは間違いないだろう。俺には乱舞する妖精たちの映像が浮かんでいた。
おしまい
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