天使の階段

天使の階段

                                -修.

 ヘルベティオス系第三惑星には異星人の遺跡が数多く残されていた。そして、それらの遺跡には未だに動いている異星人のテクノロジーが含まれていた。

 例えば、空中の何もない空間からこんこんと水があふれ出す噴水、支える柱がないのに広場の上に浮かんだ大屋根、裏側には何もないのに、開いた先にどこまでも続くトンネルが現れる扉・・・。それらの遺跡に用いられたテクノロジーは人類の理解をはるかに超えていた。

 その中でも都市の中央から少し離れた丘の上に残る遺跡は異様さが際立っていた。

 天に伸びる階段・・・。2メートル四方、厚さ30センチほどの正方形の板を、少しずつずらしながらいくつも重ねたような階段。階段は極めて硬い物質で作られており、表面は大理石のように滑らかだった。

 地面から45度の角度で天に向かって伸び、高度500メートルくらいから先は、常に雲に包まれていて、どうなっているのかは分からない。そもそも、こんなに細い棒のような構造物が500メートルの高さまで、支えもなしに斜めに立っていること自体、人類のテクノロジーでは再現不可能な構造だった。

 人々は「天使の梯子」を真似て、この遺跡を「天使の階段」と呼んだ。

 その階段の目的は何なのか、遺跡の研究者たちは活発に議論した。きっと異世界へ通じる階段だろう。いや、階段の先には宇宙船へ乗り込むプラットフォームが隠されているに違いない。いやいや、この階段は一種のレールで、モノレールのようなものが移動するのではないか。

 自らの主張が正しいことを証明するためにも、雲に包まれたところに何があるのか、研究者たちは確かめることにした。

 階段状の遺跡は普通に上っていくことも可能だが、高度が上がると、足を踏み外したり、強風に煽られたりすると、地上へ落下する危険性があるため、プロのロッククライマーである「健」と「ロナウド」が雇われた。
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