サルベイジャー

 宇宙植民時代の名残として、敵味方とも、AI兵器は律儀に技術資産互換性保護原則が保たれており、制御ユニット、脚部、胴体、頭部、兵装などすべてのユニットは、敵味方の区別もなく互換性があった。つまりは、敵の脚部を味方のAI兵器に装着するといったことも可能だし、味方の制御ユニットを敵の胴体に装着すること可能だ。ただし、各軍の秘密情報が入っている制御ユニットは、AI兵器が行動不能になるとデータを自動消去するためデータは取り出せない。敵味方ともどこかの軍事企業が大量生産したユニットを組み合わせてAI兵器を作っていることも、この相互の互換性の大きな要因となっていた。

 そして、サルベイジャーは持ち帰ったユニットを高く買い取ってもらうことができた。もちろん、無事に帰りつければだが・・・。


 巧は、再び廃墟を訪れていた。地下への入り口は周りにツタが絡まった下水道の排水口。都市が生きている時は汚物や排水が流れており、悪臭で到底中に入れるような状態ではなかったが、人々の生活が皆無の都市においては、ただの地下を流れる川、暗渠(あんきょ)と変わらない。むしろ日が差さないため植物が育たず、清浄な流れとなっていた。

 巧はいつもここから都市の中央部へとアプローチしていた。未だに活動しているAI兵器は都市の中央部に集中している。また、往路は、AI兵器から使えそうなユニットを取り外すための工具と、ユニットを入れる麻袋を持っているだけなので、AI兵器に遭遇しても攻撃されることはない。往路で気を付けなければならないのは、AI兵器同士の戦いの場に近づかないことだ。以前に比べれば減ってはいるものの、突然、ロケット弾が壁に着弾するということもないとは言えない。復路に比べれば、気楽なものだ・・・。


 下水道に入ってから数時間、手製の地図に新たな通路を書き加えながら、巧は初めて訪れる地下鉄駅にたどり着いていた。駅はもともと広い空間だったせいか、戦闘も激しかったらしく、ハンディライトで照らされた壁のあちこちに亀裂と爆発痕があり、コンクリートの瓦礫がそこら中に散らばっていた。AI兵器の残骸もいくつかあったが、発火して黒焦げになったものや、爆散してばらばらに散ったものしかなかった。これでは無傷のユニットは望むべくもない。

「まあ、そんなものだろうな・・・」
 巧は何度も都市に潜っていたが、脚部であれ、胴体であれ、無傷のユニットに遭遇することはほとんどなかった。少し傷のついたユニットの1つでも持ち帰れればラッキーというところだ。巧は早々にあきらめ、次の目的地を目指した。
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