サルベイジャー

サルベイジャー
                                -修.

「お宝なんて簡単に見つかるさ・・・」
 酒場で息巻いていた男を見かけることは二度となかった。

 同業者のたくみにとってはただの通りすがりに過ぎない。サルベイジャーはお宝を求めて、廃墟となった都市へ踏み込んでいく。あるものは手ぶらで帰り、あるものは二度と帰らない。お宝を手にできるのはほんの一握りだ。

 「お宝は簡単に見つかるだろうさ、見つけるだけなら・・・」、巧にはお宝を見つけて、それを持って無事に都市から脱出することの難しさが身に染みて分かっていた。


 数年前、突然の空襲から戦争が始まった。ミサイルや自爆ドローンが飛来し、都市側は迎撃を試みたが、数に圧倒された。地上のビル群はことごとく破壊され、今や緑に覆われた廃墟となった。人々は都市の地下へと逃げ延びた。しかし、それらの人々の前に次に現れたのは、敵味方双方の自律型AI兵器だった。

 二足歩行型、多脚型、無限軌道型、全長50cm程度の小さなものから数mに及ぶ大型のものまで、様々な形態の自律型AI兵器が地下に投入された。胴体の上部には、ロケットランチャー、レールガン、ニードルレーザーなどの兵器や、赤外線・X線センサー、ソナー、画像・音声認識機能を持つ頭部などを持ち、AI兵器には先端技術が惜しみなくつぎ込まれていた。

 自律型AI兵器には、条約に従い民間人に発砲しないよう、倫理モジュールが組み込まれている、はずだった。しかし、民間人であっても武器らしきものを携行していれば敵とみなし、即座に攻撃し、ましてや自律型AI兵器同士の戦いになると民間人の安全は全く保障されなかった。人々は一切の武器を持たないようにすることはもちろん、爆発に巻き込まれたり、流れ弾に当たったりしないよう、逃げ隠れするしかなかった。ダンジョンのような地下を戦場とする戦いは熾烈を極め、かつ、いつまでも終わることがなかった。地下には、人々の死骸とAI兵器の残骸が残されていった。

 なんとか生き延びた人々は地下から脱出し、都市から少し離れた場所に難民キャンプを作り、細々と暮らしていた。巧もその一人だ。そして、巧をはじめ、サルベイジャーと呼ばれる人々は、未だに戦いが続く都市の地価に入り込み、AI兵器の残骸を集めて帰ってくる。
1/13ページ
スキ