虹の贈り物

 そしてあることに気付いてルーリは驚愕の声をもらした。
 「これは……。」

 カードの模様はもはやただの模様ではなかった。それはすべてルーリの知っている文字に変わっていた。その中には、ルーリも知っている言葉もいくつか入っていた。

 もちろん、ルーリはまだ幼いので多くの言葉を知っているというわけではないが、いままで模様に過ぎなかった表示が、少なくとも読もうと思えば読める文字に切り替わったことはルーリにとっては想像だにしなかったことだった。

 そして間もなくカードから声が流れた。
 「ルーリ聞いているかい。このメッセージは一回しかでないから、注意して聞くんだ。昨日一晩かけて、ぼくの持っているカードの情報を君のカードに入れておいた。

 あんまり役にたつものはないかも知れないけど、動物や植物の名前や言葉の意味を調べるのに使えると思うよ。使い方は、最初は難しいと思うけどすぐに慣れる。

 わからない時には「はてなマーク」を触るんだ。そうしたら、たぶん解ると思う。一つだけ使い方を教えておく。電話だ。いいかい。今見ている文字の中に、電話というのがあるだろう。

 お友達のアンツやシアンと話したいときはここを押すんだ。今はだめだよ。最初はお友達と一緒にいるときにやるんだ。そしてカードの言うとおりにお友達の名前や声を覚え込ませるんだ。

 いいかい。そのあとは、少しくらい離れてもお話しができるようになる。わかったかな。「はてなマーク」と電話だ。

 これは、ぼくとイリウスからのお礼のしるしだ。今のぼくらにできるのはこのくらいしかないんだ。受け取ってくれ。
 ではまた、機会があったら会おう。
 星に幸あらんことを。」

 カードは沈黙した。そして、ルーリが電話という大きな贈り物を受け取ったことを実感したのは、次の日に実際にアンツやシアンとカードを通じて話してみたときだった。
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