虹の贈り物

 岩棚のある南斜面は、初夏の日差しの中にあった。谷間から吹き抜け上げてくる風は草原の草を揺らしていた。ルーリは丘の方を向いて無造作に草原に座り込んだ。

 遠すぎて丘の様子の細部は見えないが、4隻の宇宙船ははっきり認められた。そして渡り来る風を心地良く感じるうちに、丘は一瞬に煙につつまれた。そして、その煙の中から次々に光の柱が現われ、空中に消えて行った。

 ルーリは宇宙船が行ってしまったことを悟った。
 「ばいばい。」
 ルーリは小さく手を振った。とても長く感じられた1日だった。それはルーリの心に一生残る出来事だった。

 こんなことはもう二度と起きないだろうなとルーリは感じた。ルーリは煙が風に流されて消えてしまうまで丘を見つめていた。

 そして完全に煙がなくなった後、ルーリはおもむろに、いつものようにカードを取り出して太陽にかざした。すると、徐々にカードの裏側には模様が浮かんできた。ルーリは安心した。

 昨日あんなことがあったので、カードはもう壊れたのではないかと心配していたのだ。そして、ルーリはいつものように模様の変化を見ようとカードの裏側を見つめた。
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