虹の贈り物

 ルーリは暮れつつある太陽を見ながら帰りの時間がかなり遅くなったことに気付いた。子供ながらに、とても「帰る」と言い出せる状況でないことが分かっていたのだ。こんなに遅くなってはきっと父親から怒られるだろう。まだ9歳の子供にとって辺境の夜は決して安全とは言えなかった。

 ルーリはまだ立ち尽くして泣いている二人に向かって、思いきって口を開いた。

 「僕はもう帰っていいかな。よくわからないけど、おじさんたちうまくいったの?」
 アカバは、宇宙服のそでで涙を拭って答えた。

 「うまくいったとも。上出来だ。すべて君のおかげだ。」
 アカバは再び右手を差し出した。そしてルーリも今度は素直に右手を差し出した。しかし、こんどはルーリは抱きしめられてしまった。

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