虹の贈り物

 返信は突然やってきた。ルーリのカードから突然、聴き慣れない声が出てきた。

 「こちら植民星CDF294の代表者カッツェル。非常事態8701受信。移民団GRC14038の代表者アカバ。許可内容6223、許可内容6223を通告する。救助挺が急行する。座標を連絡されたし。以上。」

 アカバとイリウスは飛び上がった。まさか本当に首都まで通じるとは思っていなかったのだ。せめて村まで通じれば、また別の展開が開けるだろうぐらいにしか思っていなかったのだ。しかし、予測を大きく裏切って、緊急通信は首都まで届いてしまったのだ。

 「こちらは移民団GRC14038の代表者アカバ。許可内容6223受信。座標発信。経度43度53分15秒、緯度135度20分22秒。繰り返す。……。」

 アカバもイリウスもすでに涙が止まらなかった。これで母船は助かる。きっともう大丈夫だ。無謀な賭けは終わったのだ。危険を犯して、着陸した甲斐があったというものだ。そして、涙声の通信は終わりつつあった。

 「アカバ。座標確認完了。1時間後に救助挺が到着する。星に幸あらんことを。」
 「カッツェル。移民団GRC14038を代表して感謝の意を表明する。ありがとう。星に幸あらんことを。以上通信終わり。」

 アカバとイリウスは抱きあって大声を上げて泣き続けた。日はすでに地平線へと隠れつつあった。通信は間一髪で終了した。もう少し遅れていたら、太陽光不足で通信できなくなっていただろう。
41/47ページ
スキ