虹の贈り物

 「おじさん達、いいもの見せようか?」
 アカバが虹に見とれているのに気付いたルーリが突然口を開いた。会話が途切れて、ルーリはちょっと退屈になってきていたのだ。

 ルーリは二人の方に近づいてきて、おもむろにシャツのポケットからカードを取り出し、二人に向かって差し出した。それは太陽の光を受けて虹色に輝いた。イリウスがまず最初に気付いた。

 「ほう。空の虹と同じくらいきれいだね。なあ、アカバ。」
 イリウスはアカバをひじでつついて見るように促した。アカバは虹を見つめていた視線を下に落とし、カードをじっと見つめた。イリウスはルーリに質問を続けた。

 「ルーリだったけ、そりゃ、一体なんだい。おじさんにちょっと見せてよ。取ったりしないから。」
 ルーリは、カードをイリウスに渡そうとしながら答えた。

 「何かはわからないけど、市場で買ったんだ。アンツもシアンももってるよ。とってもきれいだろう。裏側に模様もでるんだよ。」

 そして、イリウスが受け取ろうとした瞬間、奪い取るようにアカバがそれを取り上げた。ルーリは驚いて飛び退いた。
 「アカバ、何てことするんだよ。ルーリが怖がったじゃないか。ごめんな、ルーリ大丈夫だよ。」
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