虹の贈り物
「ふーん。これが宇宙船かあ。」
少年はうなずきながら、興味津々といった感じで近づいてきた。
「そうだよ。遠い星から来たんだ。」
イリウスは、このような場合船長のアカバが第一遭遇者となる規則だったのを思い出した。しかし、ここでアカバを呼ぶと少年を刺激して、少年が逃げてしまうかもしれない。
偶然とはいえ、せっかく出会った少年がいなくなってしまうという事態は避けたかった。この少年は、アカバとイリウスを、いや宇宙を漂っている母船の1000名を救う鍵を握っているかもしれない。
「君はどこから来たんだい。」
イリウスは少年を警戒させないよう、努めて穏やかに話しかけた。
「村。」
少年は短く答えた。
「どこにあるんだい。」
「あっち。」
少年は丘の下の方を指差しながら短かく答えた。
「どのくらい遠いのかな。」
「3時間くらい。」
イリウスは距離が近ければ歩いていって村の大人たちと話したかった。きっと村までいけば、何か解決の糸口がつかめるだろうと考えたのだ。
しかし、この植民星CDF294の重力のもとで3時間山を歩いていくことは、航宙船生まれのイリウスにはあまりにも過酷であった。たぶん無理だ。数ヵ月かけて徐々に重力に体をならさないと、途中で骨折するか、脱臼するかして動けなくなるだろう。そこでイリウスは別の方法を考えざるを得なくなった。
「家族と一緒に住んでいるのかな。」
「そうだよ。父さんと母さんと妹が二人。」
「そうか。ではお父さんにここまで通信機をもって来てくれるように頼んでもらえないかな。おじさんたちはとっても困っているんだ。」
少年はうなずきながら、興味津々といった感じで近づいてきた。
「そうだよ。遠い星から来たんだ。」
イリウスは、このような場合船長のアカバが第一遭遇者となる規則だったのを思い出した。しかし、ここでアカバを呼ぶと少年を刺激して、少年が逃げてしまうかもしれない。
偶然とはいえ、せっかく出会った少年がいなくなってしまうという事態は避けたかった。この少年は、アカバとイリウスを、いや宇宙を漂っている母船の1000名を救う鍵を握っているかもしれない。
「君はどこから来たんだい。」
イリウスは少年を警戒させないよう、努めて穏やかに話しかけた。
「村。」
少年は短く答えた。
「どこにあるんだい。」
「あっち。」
少年は丘の下の方を指差しながら短かく答えた。
「どのくらい遠いのかな。」
「3時間くらい。」
イリウスは距離が近ければ歩いていって村の大人たちと話したかった。きっと村までいけば、何か解決の糸口がつかめるだろうと考えたのだ。
しかし、この植民星CDF294の重力のもとで3時間山を歩いていくことは、航宙船生まれのイリウスにはあまりにも過酷であった。たぶん無理だ。数ヵ月かけて徐々に重力に体をならさないと、途中で骨折するか、脱臼するかして動けなくなるだろう。そこでイリウスは別の方法を考えざるを得なくなった。
「家族と一緒に住んでいるのかな。」
「そうだよ。父さんと母さんと妹が二人。」
「そうか。ではお父さんにここまで通信機をもって来てくれるように頼んでもらえないかな。おじさんたちはとっても困っているんだ。」