虹の贈り物

 イリウスが外の点検に出ると言ったのは口実に過ぎなかった。いてもたってもいられないというのが本心だった。アカバのような熟考はできない。イリウスの結論は簡単だった。少しでも可能性の多いほうに賭ける。そして即座に行動する。

 しかし、母船での性格判断や行動審査により、その性急さが自分の弱点でもあることをイリウスは十分に承知していた。だから、イリウスは一旦席を外して、気を紛らすことにしたのだ。

 アカバは船長でもあり決定権は彼にある。そして何よりも判断が人一倍正確であり、今回もきっと間違いない判断を下すだろうとイリウスは思ったのだ。

 もちろん、離陸するにしろ、シャトルをそのまま置いておくにしろ外部の点検は欠かせない作業でもあった。イリウスは植民星CDF294のやや大きい重力のため多少重くなった自分の体重を足に感じながら、エアロックへと入って行った。
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