虹の贈り物

 第1の案は、目的地到着のときのために温存してあるエネルギーをすべて使い果たして植民星CDF294に着陸し、移民させてもらうことだった。

 しかし、いくら緊急避難とは言え、これは宇宙移民管理法違反となる。すでに入植者が居る惑星には、先住者の許可がないと移民できない。無許可で慣行することは即ち自動的に侵略行為と見なされてしまう。

 しかし通信システムは稼働しておらず、植民星CDF294と連絡がつかない。かといって許可をもらう前に着陸してしまったら、大型航宙船は自力で大気圏離脱できる設計はされておらず、二度と離陸できない。

 また、出発当時、植民星CDF294での移民団が成功しているかどうか、まだ母星に情報が入っていなかった。もしかすると、正体不明の病原菌で移民団は全滅しているかも知れない。
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