虹の贈り物

 「大丈夫だ。機体を滑空姿勢から、制動姿勢へ修正。エアブレーキを掛ける。14、15、17バーニア出力50%。全逆噴射モーター出力70%。もうすぐ着陸だ。イリウス頑張れ。」

 そのシャトルには船長のアカバと機関士のイリウスの二人しか乗り込んでいなかった。本来このシャトルは、数十人の乗員と数十トン分荷物とを乗せて、惑星と母船の間を往復する能力を持っているが、今回のこの植民星CDF294への着陸は無謀の極致、いやほとんど賭けとさえ言えるものであり、二人以上の人員を割くことはできなかったのだ。

 アカバは、緑の丘陵が連なる地表を写したモニタをちらりとみながら、叫んだ。
 「機体温度は大丈夫か?」
 「700度に低下。問題なし。制動姿勢へ移行完了。速度2000。」
 イリウスが即座に答えた。
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