梅雨のとてもありがたく数少ない晴れ間
昨日まで毎日が台風なのかと雨ノ神にでも問い詰めたくなるような1週間だった。

社員寮に住んでいたので特に何もなかった関平。
今朝は雨が上がっていたが通勤途中に豪雨に見舞われ海開きはまだ先だぞとからかったビシャ濡れの張苞と伊籍。
湿気を吸って髪のうねりがえらいことになった超絶不機嫌な法正とかわいそうにいつものまとめ髪がバネか何かのようになってしまった孟達。
バイクで出社してきたものの帰るに帰れなくなってしまいその日は会社に泊まった張松。
いつも通り自宅からタクシーで夜中に出社してきた龐統。

梅雨入りしてから濃い1週間だった。
魏延の出向が決まったのはちょうど1週間前

今日から魏延が出向してくるそうで社長室で待っていた。

「そろそろ時間だよなあ、応接室に行っとくか」
食いはぐれた遅めの昼食、少々量がもの足りないハンバーガーセットを緑茶で流し込む。

外から大きめノックの音がする、誰だこんな時間にと劉封は訝った。
急いで飲み込み入っていいぞと言う前に無骨な来訪者は扉をあけてきた小さいくんくん鳴いてる毛玉を抱えて引き連れて。

「よくこれで通るのを許したよな受付も…」
生き物を持ち込んで来た魏延とそれを止めずに通した受付に劉封は呆れた。
別にここはホテルとは別にある実質事務所のようなところで問題はないのだが。
いかんせん緩いのだ。

「犬、着イテキタ。我、追イ払ッタ。着イテクル。」
しょんぼりとこのガタイのいい格闘家のような男は話し出す。
腹を空かせているのかぴーぴーと子犬は鼻を鳴らしている、目が開いているのは自由に動き回っているがまだ目が開いていないのは魏延の大きな手に抱えられたままだ。

「貰い手探さなきゃなあ」
仕事ではない仕事が増えた劉封はため息をついた。

この後、応接室に魏延はこないと察してノックもせずに社長室に入ってきた法正に魏延が説教されていたがこの二人が揃うとVシネマさながらの光景である。

劉封は毛がつくのも構わずあったかい毛玉を膝に乗せていた。

「毛がついて取れませんよ全く」
法正はイラつきながらガムテープでお高いアルマーニのスーツを叩く。

関家や張家に譲ってやろうかと思ったが法正の嫁さんが喜びそうだったのでそっちに譲ってやろう。

後日、法正にチョークスリーパーを食らわされたのは言うまでもない。