首尾よくその日の収録が終わり偶然、目に入った和食店にて昼食にしようと入った2人

学生らしきアルバイトが注文を取りにきたが面倒だったので疲労で何も頭に入って来なかった劉封は法正と同じモノをと伝えて一口水を飲む、冷たさが胃にしみる。
「空き腹で冷たい物飲むんじゃなかった。」
ここのところこういうことが積み重なりすぎて口に出る。
「あぁ、あいにく先ほどの収録前に渡した分が最後でしたね。」
体調管理も一応マネージャーであるこいつの仕事ではあるのだが悪い偶然というものがあるようでここは劉封は諦めてあとで薬局なりで買えばいいそう思った。

最近なぜか胃が弱くなったような気がする劉封だが原因は大体わかっている日々の疲労だ。

昼のピーク時を過ぎた飲食店の提供速度などそれなりに早く運ばれて来た。
だしの香るつゆと天ぷら、天ぷら定食だ。

劉封はやってしまったと気づくこの傷だらけと言わんばかりの胃にこれはキツイ。

「やっちまったよ…ちゃんと選んで頼んどきゃよかった…」
もはや呆れた顔をした目の悪人ヅラがいつもなら憎たらしいと感じることも一言嫌味でも言ってやることも忘れこの目の前の強敵【天ぷら定食】に立ち向かうか思案した。


「おい、法正。天ぷらの衣全部剥いでくれないか？そうしたらいける」
変に前向きに捻った結果だ。
「本気で言ってるんですか？もうガキでもあるまいし」
何をいっとんだお前はてめーでやれと言わんばかりの顔をしているが構わない。
「誰のおかげで胃に傷負ってると思ってんだこれくらいしてくれたってバチは当たらないさ」
ちょっとこめかみあたりがビクついたのが見えたが知るかと言わんばかりに半笑いで睨んでやればやれやれと言った様子で劉封側の盆から天ぷらの乗った皿を引き寄せ新しく割った割り箸で衣を剥がしていく。
「なんで俺がこんなガキのお守りみたいなこと…」
ぶつくさ言っていたが日頃のお前の行いだバーカとでも言ってやりたかったがこれ以上言ったら仕返しが来そうなのでやめておいた。
今度、事務所の先輩である黄権や伊籍にこのこと話してやろうか。

この遅めの昼食で起きた出来事を話したところ伊籍にドンびかれるのはまた別のことだ。

二人の野郎の片割れの色の黒い色男が天ぷらの衣を剥ぎその具材をつゆに浸して頬張っていく美丈夫、なんともシュールである。