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ある未来の後での暴力団組員赤木法正+カウンセラーヤンミー貂蝉
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パソコンに映された映像を眺めながら、ヘルハット(ピ〇ハットの、地獄支店)で注文をしたピザを齧る。パーカーを着た痩せ細った青年に馬乗りになり、センスの無いスーツを着た浅黒い男が、額に青筋をひくつかせながら、笑顔で首を絞めていた。筋張った大きな両手にも、くっきりと血管が浮かび上がっている。とんでもない力を込められて、青年は背筋を仰け反らせながら、足をバタバタ跳ねさせる。もって、あと3分か? 冗長な痴情のもつれは、マウスを叩いて早送りをし、最後に目を見開き硬直して事切れた、若い青年の哀れな最期を見届けた。可哀想に。不憫でならない。前世の気狂い振りは悍ましいが、今生では心の優しい純朴な青年だった。夢は一流のソリストになり、満員の自分のコンサートに、愛する母を招く事。裕福な出とは言え、母子家庭なのに一流の音大にまで通わせて貰って。膨大な学費に楽器にかかる費用を惜しまず、一人息子の才能を信じる美しい母への感謝と尊敬の念を、青年は常に絶やさなかった。愛してやまない母の為に、高価なプレゼントを贈りたい。きっかけは、そんないじらしい息子の、母への慕情。白衣を着た貂蝉は、切なく眉を寄せた。今生での青年の、なんと哀れな事だろう。マウスを叩いて、また早送りをする。肩で息をする男は、繊細で端麗だった美貌を見るも無残に膨らませた青年の死体からパーカーを剥ぎ取り。そしてハサミで乱雑に切られた、短い黒髪を鷲掴む。ある少年のある言葉で正気を取り戻した青年が、白いフリフリとしたワンピースを投げ捨て、ハサミで腰まで届いた髪を自分で切り落とした。これはそう、情婦の封美から、元の達也(公然)と言う人格を、取り戻した証明であった。お前等、誰が最初から愛するものか。そう最後に吐き捨て、達也(公然)は最後に赤木(法正)から死と言う痛ましい形ではあるが、ようやく解放されたのである。二千年前からの呪われた因果から、遂に自分から鎖を解いたのだ。この悲劇の小さな救いに、貂蝉はピザを齧りながら、唇を綻ばせる。歯噛みをしている気の触れた丞相殿の怨霊は、「あれは失敗作だ」と、「赤木研一朗」としての自我が強く芽生え狂い咲いてしまった己の転生した一つの成れの果てを、とっくに切り捨てた。拘束し独房に閉じ込めている「赤木研一朗」も、「あの男の悪夢は、もう見なくなった」と、気の触れた丞相から見離された事を、無意識に喜んでいたが。貂蝉は右手でマウスを押し、映像を倍速にする。見るに耐えられなかった。「赤木研一朗」は殺めた青年に白いワンピースを着せて、青紫に膨れ上がった頬を、愛おしげに撫でる。
『やっと、帰ってきたね』
「赤木研一朗」の傍らに控えていた褐色の肌の男は、憎々しげに目を逸らして、部屋から出ていった。吐き気が抑えられなかったのだろう。案の定「赤木研一朗」が次に行った事は、自分が殺した青年の遺体への、更なる辱めだった。本人は、気持ちが擦れ違い家を出ていった恋人との、再度の愛の確かめ合いだとでも思っているのだろうが。鼻を鳴らした貂蝉は、マウスをクリックした。
『封美、封美、愛しているよ』
背筋に毒蟲でも這ってるかのように、耳に入れる事さえ寒気がして、貂蝉は「赤木研一朗」のあまりに独り善がりな愛の末路を拒絶した。将来を有望視していた生徒を必死に探す音大教員も、攫われた息子の為に身体を売って身も心も擦り減らす母親も。誰も彼もが、気の毒でならなかった。治療の参考までに見た一連の動画を閉じ、独房に拘束して閉じ込めた「赤木研一朗」の映像に切り替える。同じ顔をした幾人もの「法正孝直」から贈られた品の中でも、特にぶつくさとご注文の多い細身の文官から貰ったダッチワイフを、「赤木研一朗」は大層喜んだ。腰まで届く青黒く濡れた髪に、白磁の肌。大きな黒々とした瞳。そして「赤木研一朗」が大好きなセーラー服に、キャラメルブラウン色のカーディガンを纏ったダッチワイフを、「赤木研一朗」は「封美」と呼んで、ニコニコと寄り添っている。
『愛しているよ』
『綺麗だ』
『なんて可愛い』
『おやすみ』
『おはよう』
『封美』
独房から聞こえてくるのは、蜜を溶かしたような甘い甘い男の囁きだけだ。「赤木研一朗」が求めたものは、「達也(公然)」ではなく、虚像でしかない「封美」だけだったのだ。男としての「劉封公然」を愛した丞相とは、そこからもう違えていた。男としての「達也(公然)」の全てを否定し、精神まで打ち壊し、自分の「封美」を作りあげた「赤木研一朗」には、意思の無いダッチワイフでさえ「封美」になるとは。貂蝉は、嘲笑が堪えきれなかった。あの様な愚かで下劣極まりない男には、ダッチワイフが一番お似合いな相手だろう。現にダッチワイフに頬擦りしながら、「赤木研一朗」は股間を浅ましく主張していた。太いベルトで何十にも巻かれた両腕で抱き締められない代わりに、よく出来た無機質なシリコン製の頬に、何度も何度も口付ける。髪を盛り上げた、文官にしてはやたら大柄で品の無い男に、面会室でもタバコの煙を吐きかけられ、リ〇ちゃん人間とボーイフレンドのハ〇トくん人形を、ニヤニヤと馬鹿にされながら贈られるわけだと、貂蝉はノートパソコンを閉じる。前世では父親の様に慕われていたのに、転生したらこのザマとは。息子達に示しがつかないと、気の触れた丞相殿の嘆きなど、貂蝉には知ったことではなかった。どちらも、バケモノである事には変わりない。下手を打ったかどうかの、そんな違いだけなのだから。
『人が死ぬのは、心臓が止まる時じゃない。脳が止まる時でもない。人が死ぬのは、忘れられた時だ。愛した人のことを忘れずにいれば、その人はいつまでも生き続ける。記憶の中で、いつでも会えるのだ。だから死ぬ事は、少しだけさよならをすることだ』
だから「赤木研一朗」の中で「封美」を殺した事は、少し恋人と喧嘩しただけだと、貂蝉にニコニコと語りかけた時、貂蝉は悟った。もう一人の患者は立ち直れても、この男の完治は不可能だと。天国にも地獄にも行けず、転生も叶わず、永遠に独房で己の最愛の「封美」を抱く。それが「赤木研一朗」に与えられた、罰なのだろう。生まれながらの人格破綻者は、運命の人だと盲信してやまない「封美」を押し潰し幸せそうなのだから。これでは罰にもならないかと、同胞達にも見捨てられた、「封美」への愛に狂った男の末路を、電子カルテに打ち込んでゆく。妲己から「お仕事お疲れ様(´∀`)★」と、LINEが届き。貂蝉はかけていたメガネを指で外し、机にたたんで置いた。LINEの内容をiPhoneで確認したら、「次は、ナルシストコンサルタントさん(桑原法正さん曰くw)が入院するわよぉ(・ω<)-☆」と書かれている。疲れた目頭を右手の薬指で押し、溜息を吐いた。その男も「赤木研一朗」同様どうせ退院出来ない事を、貂蝉は最初から分かっているからだ。
『やっと、帰ってきたね』
「赤木研一朗」の傍らに控えていた褐色の肌の男は、憎々しげに目を逸らして、部屋から出ていった。吐き気が抑えられなかったのだろう。案の定「赤木研一朗」が次に行った事は、自分が殺した青年の遺体への、更なる辱めだった。本人は、気持ちが擦れ違い家を出ていった恋人との、再度の愛の確かめ合いだとでも思っているのだろうが。鼻を鳴らした貂蝉は、マウスをクリックした。
『封美、封美、愛しているよ』
背筋に毒蟲でも這ってるかのように、耳に入れる事さえ寒気がして、貂蝉は「赤木研一朗」のあまりに独り善がりな愛の末路を拒絶した。将来を有望視していた生徒を必死に探す音大教員も、攫われた息子の為に身体を売って身も心も擦り減らす母親も。誰も彼もが、気の毒でならなかった。治療の参考までに見た一連の動画を閉じ、独房に拘束して閉じ込めた「赤木研一朗」の映像に切り替える。同じ顔をした幾人もの「法正孝直」から贈られた品の中でも、特にぶつくさとご注文の多い細身の文官から貰ったダッチワイフを、「赤木研一朗」は大層喜んだ。腰まで届く青黒く濡れた髪に、白磁の肌。大きな黒々とした瞳。そして「赤木研一朗」が大好きなセーラー服に、キャラメルブラウン色のカーディガンを纏ったダッチワイフを、「赤木研一朗」は「封美」と呼んで、ニコニコと寄り添っている。
『愛しているよ』
『綺麗だ』
『なんて可愛い』
『おやすみ』
『おはよう』
『封美』
独房から聞こえてくるのは、蜜を溶かしたような甘い甘い男の囁きだけだ。「赤木研一朗」が求めたものは、「達也(公然)」ではなく、虚像でしかない「封美」だけだったのだ。男としての「劉封公然」を愛した丞相とは、そこからもう違えていた。男としての「達也(公然)」の全てを否定し、精神まで打ち壊し、自分の「封美」を作りあげた「赤木研一朗」には、意思の無いダッチワイフでさえ「封美」になるとは。貂蝉は、嘲笑が堪えきれなかった。あの様な愚かで下劣極まりない男には、ダッチワイフが一番お似合いな相手だろう。現にダッチワイフに頬擦りしながら、「赤木研一朗」は股間を浅ましく主張していた。太いベルトで何十にも巻かれた両腕で抱き締められない代わりに、よく出来た無機質なシリコン製の頬に、何度も何度も口付ける。髪を盛り上げた、文官にしてはやたら大柄で品の無い男に、面会室でもタバコの煙を吐きかけられ、リ〇ちゃん人間とボーイフレンドのハ〇トくん人形を、ニヤニヤと馬鹿にされながら贈られるわけだと、貂蝉はノートパソコンを閉じる。前世では父親の様に慕われていたのに、転生したらこのザマとは。息子達に示しがつかないと、気の触れた丞相殿の嘆きなど、貂蝉には知ったことではなかった。どちらも、バケモノである事には変わりない。下手を打ったかどうかの、そんな違いだけなのだから。
『人が死ぬのは、心臓が止まる時じゃない。脳が止まる時でもない。人が死ぬのは、忘れられた時だ。愛した人のことを忘れずにいれば、その人はいつまでも生き続ける。記憶の中で、いつでも会えるのだ。だから死ぬ事は、少しだけさよならをすることだ』
だから「赤木研一朗」の中で「封美」を殺した事は、少し恋人と喧嘩しただけだと、貂蝉にニコニコと語りかけた時、貂蝉は悟った。もう一人の患者は立ち直れても、この男の完治は不可能だと。天国にも地獄にも行けず、転生も叶わず、永遠に独房で己の最愛の「封美」を抱く。それが「赤木研一朗」に与えられた、罰なのだろう。生まれながらの人格破綻者は、運命の人だと盲信してやまない「封美」を押し潰し幸せそうなのだから。これでは罰にもならないかと、同胞達にも見捨てられた、「封美」への愛に狂った男の末路を、電子カルテに打ち込んでゆく。妲己から「お仕事お疲れ様(´∀`)★」と、LINEが届き。貂蝉はかけていたメガネを指で外し、机にたたんで置いた。LINEの内容をiPhoneで確認したら、「次は、ナルシストコンサルタントさん(桑原法正さん曰くw)が入院するわよぉ(・ω<)-☆」と書かれている。疲れた目頭を右手の薬指で押し、溜息を吐いた。その男も「赤木研一朗」同様どうせ退院出来ない事を、貂蝉は最初から分かっているからだ。
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