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千尋様より(弁護士法正)
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「被疑者とは、」
「父親で、構いませんよ。たった一人の、オレの家族なので」
ニコリと笑う青年は、自分が被害者であると言うのに、コーヒーを飲みながら愉快気に言葉を紡ぐ。被疑者は彼の父親だったが、こちらが気を遣って、父親と呼称するのは避けたというのに。
「…では父親からは、いつから性的虐待を?」
「物心つく頃には、たくさんキスされていたよ。それも、性的虐待に入るんですか?」
「…キミがそう、捉えているならそうだ」
「へえ、オレの受け取り次第なんですね。随分と、曖昧なものなんだな」
「なら質問を変えるなら、初めて強姦をされたのは?」
「レイプだとは思っていないけど、最後までセックスをしたのは、10歳の時かな。忘れもしない。オレが、精通した歳だったから」
「…おかしいと、思わなかったのか?」
「多少はね。でもそれ以上に、面白かったんだよ。あのぶっきらぼうな父さんが、必死になってオレを求めていた。父さんなりに、最後の一線を超えまいと、葛藤していたんじゃないか?」
「なにも分からない無知なキミに、」
「分からなく、はなかったかな。物心つく頃には、トイレで小便したら、トイレットペーパー代わりに舐めて、綺麗にしてくれていたから。いけない事をしているのは、どこかで勘づいていたよ」
余りの事実に、コチラは開いた口が塞がらないというのに。当の被害者は、昨日食べた夕飯の話でもしているかのように、スラスラと端的に語り出す。
パソコンのキーボードを打つ指が、何度も止まりそうになった。被害者の青年は、唇を柔らかく緩めて、他人からすると異常な親子の実態を話すのだ。狂気の沙汰だった。
「たった14歳しか、離れていないから。今のオレの歳でもう、中学生にもなる子供を育てていたのかと思うと…。頭が下がりますよ…。10代も20代も、全て子育てに捧げただなんて…。ああ、あの人、留置所でなんて言っているんですか? 妻が面会に行くなと言うから、一度も会いに行けていないんです」
「キミは被害者なのだから、面会に行かなくて当然だが…」
「ええ。だから、息子として」
「…キミの、父親になりたいんだと」
狂人の喚く言葉には、理解は示せなかった。弁護士から差し入れされた息子の写真を、日がな一日眺めていると言う事実も、被害者である息子に、告げる事は憚られた。
「お父さんは、寂しがり屋だから」
「…そうなのだろうな」
「オレがいないと、生きていけないんだ」
可愛い男でしょう? と、得意気に笑う青年は、愛妻家の夫を自慢する自信に満ちた妻のようだった。
「父親で、構いませんよ。たった一人の、オレの家族なので」
ニコリと笑う青年は、自分が被害者であると言うのに、コーヒーを飲みながら愉快気に言葉を紡ぐ。被疑者は彼の父親だったが、こちらが気を遣って、父親と呼称するのは避けたというのに。
「…では父親からは、いつから性的虐待を?」
「物心つく頃には、たくさんキスされていたよ。それも、性的虐待に入るんですか?」
「…キミがそう、捉えているならそうだ」
「へえ、オレの受け取り次第なんですね。随分と、曖昧なものなんだな」
「なら質問を変えるなら、初めて強姦をされたのは?」
「レイプだとは思っていないけど、最後までセックスをしたのは、10歳の時かな。忘れもしない。オレが、精通した歳だったから」
「…おかしいと、思わなかったのか?」
「多少はね。でもそれ以上に、面白かったんだよ。あのぶっきらぼうな父さんが、必死になってオレを求めていた。父さんなりに、最後の一線を超えまいと、葛藤していたんじゃないか?」
「なにも分からない無知なキミに、」
「分からなく、はなかったかな。物心つく頃には、トイレで小便したら、トイレットペーパー代わりに舐めて、綺麗にしてくれていたから。いけない事をしているのは、どこかで勘づいていたよ」
余りの事実に、コチラは開いた口が塞がらないというのに。当の被害者は、昨日食べた夕飯の話でもしているかのように、スラスラと端的に語り出す。
パソコンのキーボードを打つ指が、何度も止まりそうになった。被害者の青年は、唇を柔らかく緩めて、他人からすると異常な親子の実態を話すのだ。狂気の沙汰だった。
「たった14歳しか、離れていないから。今のオレの歳でもう、中学生にもなる子供を育てていたのかと思うと…。頭が下がりますよ…。10代も20代も、全て子育てに捧げただなんて…。ああ、あの人、留置所でなんて言っているんですか? 妻が面会に行くなと言うから、一度も会いに行けていないんです」
「キミは被害者なのだから、面会に行かなくて当然だが…」
「ええ。だから、息子として」
「…キミの、父親になりたいんだと」
狂人の喚く言葉には、理解は示せなかった。弁護士から差し入れされた息子の写真を、日がな一日眺めていると言う事実も、被害者である息子に、告げる事は憚られた。
「お父さんは、寂しがり屋だから」
「…そうなのだろうな」
「オレがいないと、生きていけないんだ」
可愛い男でしょう? と、得意気に笑う青年は、愛妻家の夫を自慢する自信に満ちた妻のようだった。
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