「たまには安酒ばかり飲んでいないで、ワインの一本でも買うべきですよ」

取引先相手（笑）なので、「ああそうですか、余計な世話をどうも」とも返せず。

「どちらの銘柄が、宜しいのですか？」

作り笑いを浮かべて、日焼けた浅黒い顔に向けて媚を売る。その白過ぎる歯とのコントラストの下品さに、顔を見合わせる度に、鼻で笑ってしまいそうになるが。なにより下世話なのは、その歪んだ成り上がり根性だと嘲笑した。気前良く、ワインの蘊蓄について語り出す取引先相手（笑）の経営者に、サラリーマンを舐めるなと言いたい。お前の歯を見る度に、便器を思い出す。笑いを堪えるのに、必死なのだから。