浴室というには広すぎる劉封の邸にある湯浴み場。
そこで大人しく法正に身体を洗われている劉封
普通であれば危険があるのではないかと思いがちだが同衾までした仲で今更だと。
そもそも同衾することはありこそすれ入浴をすることはまずないだろうそれをどちらが提案したでもなく法正と劉封はやってのけた。

「俺を殺ル気だったならとっくにやってるだろ？お前の性分はなんとなくわかってきた…ハナからそんなつもりもないって」
真剣な話題のはずなのだが法正が身を清めてやると称してやたらと胸ばかりさわってくるので困惑する。

寝首なら何度でも搔く機会があったはずで劉封本人も承知で同衾をしていたが回数を重ねるにつれ当初の疑念などどこにも無くなってしまった。
嫌味っぽいことを言っては劉封の反応を面白がるのは相変わらずだが。

「ほう、殿下からそのような言葉が出て来たのは素直に嬉しいですよ大事な貴方を殺すなんて真似しませんよ。貴方のいう通り最初からそんなつもりではありません。」

湯船から桶に汲んだ湯で洗い流す
水が床を打つ音が木造りの浴室に響く。

広い浴室に上質な木で造った浴槽に浸かる2人、太守になってからというもの日毎に積み重なる激務の法正はなかなか浸かることがなかったので懐かしいような新鮮な気持ちでいた誰かと入浴をすることが久方ぶりだったからだろうか太守になる前に妻と入った日から数えるといつぶりだとも。

2人のとりとめなくも貴重な時間がすぎていく。